引っ越しや大掃除などで出る不用品の処分に、どの方法を選べば良いか迷うことは少なくありません。できるだけ費用を抑えたいけれど、手間や安全性も気になる方もいらっしゃるでしょう。
不用品の処分方法は一つではなく、それぞれの特徴を理解して選ぶことが大切です。適切な方法を選べば、費用を抑えつつスムーズに片付けられます。
本記事では、粗大ゴミ回収の主な方法とそれぞれの費用相場、処分を依頼する際の注意点や悪質な業者を避けるためのポイントについて詳しく解説します。

早稲田大学国際教養学部卒。その後、不用品回収や遺品整理に特化したメディア「不用品回収の窓口」の立ち上げに参画。400社を超える不用品回収業者の業務改善や集客改善に注力。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品や遺品整理に関する多様な記事の執筆・監修も担当。
このページの内容
粗大ゴミの処分にかかる費用相場

費用相場は把握できましたが、不用品回収業者に見積もりを依頼する際、特に注意すべき点はありますか。
はい、見積もりは複数の業者から取り、料金内訳に不明な項目がないか確認しましょう。また、作業当日に追加料金が発生する可能性のあるケースについても事前に詳しく聞いておくと安心です。
粗大ゴミを処分する際の代表的な処分方法と、かかる費用の目安を以下の表にまとめました。
処分方法 | 費用相場の目安 |
---|---|
自治体の粗大ゴミとして回収してもらう | 数百円~数千円程度(品目や自治体による) |
家電量販店などで回収してもらう | リサイクル料金+収集運搬費(数千円~) |
リサイクルショップで売却する | 無料(買取価格が付けば収入になる) |
フリマアプリやオークションで売却する | 販売手数料(売上の数%~10%程度)+送料(数百円~) |
不用品回収業者に依頼する | 単品回収:数千円~、軽トラック積み放題プラン:1万円~3万円程度 |
欲している人に譲る | 基本的に無料(送料などがかかる場合もある) |
自治体の粗大ゴミ回収は比較的安価ですが、家電リサイクル法対象品目は回収してくれません。
リサイクルショップやフリマアプリは、状態が良ければ売却益を得られる可能性があります。不用品回収業者は費用がかかりますが、分別不要でまとめて回収してくれる点がメリットです。
粗大ゴミの処分の方法

たくさんの処分方法があるのは分かりましたが、どれが自分に合っているか選ぶのが難しそうです。
まずは処分したい品物の種類や量、かけられる費用や手間を整理してみましょう。何を優先するかで、適した処分方法が見えてきますよ。
使わなくなった物を処分するには、いくつかの方法が考えられます。それぞれの方法の特徴を理解し、適切な手段を選びましょう。
粗大ゴミとして回収してもらう
自治体の粗大ゴミ回収は安いと聞きましたが、申し込みから回収まで、どのくらい時間がかかりますか。
自治体や時期によって異なりますが、申し込みから収集まで数週間かかることもあります。引っ越しなど期限がある場合は、早めに自治体の情報を確認し、計画的に申し込むことが大切です。
自治体に粗大ゴミとして回収を依頼する方法は、比較的安価に処分できるのが特徴です。まず、お住まいの自治体のWebサイトで申し込み方法を確認しましょう。一般的には、事前に申し込み、粗大ゴミ処理券を購入し、不用品に貼り付けて収集日の朝に指定場所へ出す流れとなります。
ただし、家電リサイクル法対象品目(テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)やパソコン、事業活動に伴うゴミなどは基本的に回収対象外です。また、自治体によっては一度に出せる点数に上限がある場合もあります。
【メリット】
- 処分費用が比較的安い
- 自治体が行うため安心感がある
【デメリット】
- 回収日時を指定できない場合がある
- 家電リサイクル法対象品など回収できない品目がある
- 自分で指定場所まで搬出する必要がある
- 申し込みから収集まで時間がかかることがある
店舗で回収してもらう
新しい家電を買う予定はないのですが、古い家電だけ店舗で回収してもらうことは可能ですか。
購入した店舗であれば、買い替えでなくても引き取ってもらえる場合が多いです。ただし、収集運搬費が別途かかるかなど、条件は店舗によって異なるため事前に確認しましょう。
家電量販店や一部の小売店では、家電リサイクル法対象品目などの不用品回収サービスを提供しています。新しい製品を購入する際の買い替え時だけでなく、回収のみを依頼できる場合もあります。
回収を依頼する際は、リサイクル料金と収集運搬料金が発生するのが一般的です。店舗によっては、対象品目以外にも小型家電などの回収を行っている場合もあります。
【メリット】
- 新しい製品の購入と同時に処分できる
- 指定場所まで運搬してくれる場合がある
- 法律に基づいた適切な処理が期待できる
【デメリット】
- リサイクル料金と収集運搬費がかかる
- 対象品目が限られている場合が多い
- 店舗によってサービス内容や料金が異なる
リサイクルショップで売却する
リサイクルショップで少しでも良い値段で買い取ってもらうコツはありますか。
品物をきれいに掃除し、付属品(説明書やリモコンなど)をそろえて持ち込むと査定額が上がりやすいです。また、季節物はシーズン前に売るのもポイントですよ。
まだ使用できる状態の不用品であれば、リサイクルショップで買い取ってもらうのも一つの方法です。近年では、出張買取や宅配買取といったサービスを提供する店舗も増えており、自宅にいながら査定・買取を依頼することも可能です。
ただし、全ての品物が買い取られるわけではなく、状態が悪い物や需要の低い物、年式が古い家電などは買取不可となることもあります。
【メリット】
- 処分費用がかからず収入になる可能性がある
- 出張買取なら搬出の手間が省ける
- まだ使える品物を再利用してもらえる
【デメリット】
- 買い取ってもらえるとは限らない
- 買取価格が期待よりも低いことがある
- 店舗まで持ち込む手間がかかる場合がある
フリマアプリやオークションで売却する
フリマアプリで出品する際、商品の説明文はどのように書けば買い手が見つかりやすいですか。
商品の状態(傷や汚れなど)を正直に詳しく記載し、サイズや型番、使用期間なども明記すると信頼性が高まります。魅力的な写真を複数枚掲載することも大切です。
個人間で手軽に売買ができるフリマアプリやインターネットオークションも、不用品を処分する方法の一つです。自分で出品価格を設定でき、リサイクルショップでは値段が付かないような物でも、欲しがっている人がいれば売却できる可能性があります。
出品する際は、商品の写真撮影、説明文の作成、購入者とのやり取り、梱包、発送といった作業を自分で行う必要があります。売れた場合には、サービス提供者に対して販売手数料を支払うのが一般的です。
【メリット】
- 自分で価格を設定できる
- ニッチな物でも売れる可能性がある
- リサイクルショップより高値で売れる場合がある
【デメリット】
- 出品から発送まで全て自分で行う手間がかかる
- 購入者とのやり取りが発生する
- 販売手数料や送料がかかる
不用品回収業者に依頼する

不用品回収業者に依頼する場合、料金は作業前に確定しますか。
優良な業者であれば、訪問見積もりや詳細な情報提供の後に確定料金を提示してくれます。作業後に追加料金が発生しないよう、見積もり内容をしっかり確認しましょう。
不用品回収業者は、家庭や事業所から出るさまざまな種類の不用品を有料で回収してくれる専門業者です。自治体の粗大ゴミ回収では対応していない家電リサイクル法対象品目や、一度に大量のゴミを処分したい場合、分別が面倒な場合などに便利です。料金体系は業者によって異なり、単品ごとの料金設定や、トラックの荷台に積めるだけ積んで定額などがあります。事前に複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
作業日時を指定できる場合が多く、即日対応をうたう業者も存在します。
【メリット】
- 分別や搬出の手間がかからない
- 家電リサイクル法対象品も回収可能
- 都合の良い日時を指定しやすい
- 大量の不用品を一度に処分できる
【デメリット】
- 他の処分方法に比べて費用が高めになる傾向がある
- 悪質な業者とトラブルになるリスクがある
- 業者によってサービス内容や料金が大きく異なる
欲している人に譲る
地域掲示板で家具を譲る場合、運搬はどうするのが一般的ですか。
出品時に引き取り限定にするか、近隣であればご自身で届けるかなど、条件を明記することが多いです。大型の場合は、運搬方法や費用負担について事前に相手とよく話し合うことがトラブル防止につながります。
まだ使えるけれど自分にとっては不要になった物を、その品物を欲しがっている人に無償または安価で譲る方法もあります。手渡しできる相手であれば、梱包や発送の手間もかからず、費用を抑えて処分できます。
ただし、譲る相手がすぐに見つかるとは限りませんし、大型の家具や家電の場合は、運搬方法や費用について事前に話し合っておく必要があります。また、無償で譲る場合でも、品物の状態については正直に伝え、後々のトラブルを避けるようにしましょう。
【メリット】
- 処分費用がかからない、または安く済む
- 相手に喜んでもらえる可能性がある
- まだ使える品物を有効活用できる
【デメリット】
- 譲る相手を自分で探す必要がある
- 品物の状態や受け渡し方法について調整が必要
- 大型の場合、運搬の手間や費用がかかることがある
粗大ゴミの処分のタイミング

まだ使える物でも、長年使っていない物は処分した方が良いのでしょうか。
はい、「いつか使うかも」と思っていても、1年以上使っていない物は今後も使わない可能性が高いです。定期的に持ち物を見直し、不要な物を手放すことで生活空間もスッキリしますよ。
不用品を処分する適切なタイミングは、品物の種類や状態、ライフスタイルの変化などによって異なります。処分を検討する具体的なきっかけとしては、以下のようなケースが挙げられます。
- 引っ越しで荷物を減らしたい
- 大掃除で不要な物が多く出た
- 新しい製品を購入して古い物が不要になった
- 故障したり、修理費用が高額になったりした
- 収納スペースが足りなくなった
- 長期間使用しておらず、今後も使う見込みがない
これらのタイミングで不要な物を整理し、処分することで、生活空間を快適に保てます。
粗大ゴミ回収を依頼するときの注意点

粗大ゴミ回収をスムーズかつトラブルなく行うためには、事前に知っておくべきいくつかの注意点があります。
処分前に行うべきこと
まず、処分したい品物が自治体のルールでどのように分別されるかを確認しましょう。可燃ゴミや不燃ゴミ、資源ゴミ、粗大ゴミなど、正しい分別方法を把握しておくことが重要です。
特に家電製品やパソコン、スマートフォンなどを処分する際は、内部に残っている個人情報のデータ消去を忘れずに行いましょう。書類なども個人情報が含まれていないか確認し、必要であればシュレッダーにかけるなどの対策をしましょう。
また、タンスや引き出し、カバンの中などに、貴重品や大切な物が残っていないかも最終確認が必要です。思い出の品や写真などが誤って処分されることのないよう、念入りにチェックしましょう。不用品回収業者に依頼する場合は、事前に作業スペースや搬出経路を確保しておくと、当日の作業がスムーズに進みます。
やってはいけないこと
不用品の処分に際して、注意すべきは不法投棄です。他人の私有地などに許可なくゴミを捨てることは法律で固く禁じられており、罰金や懲役刑が科される場合があります。
また、一般廃棄物収集運搬業の許可を得ていない無許可の回収業者に依頼することも問題です。不法投棄された場合、排出者である依頼主が責任を問われる可能性もゼロではありません。
その他、自治体のルールを守らない分別も避けるべきです。特にスプレー缶やライターなど、危険物は自治体の指示に従って正しく処分しましょう。家電リサイクル法対象品目を適切な方法で処理せずに廃棄することも法律違反となるため注意が必要です。
処分方法の検討ポイント
どの処分方法を選ぶべきか迷ったときは、いくつかのポイントを考慮して判断することが大切です。検討すべき主なポイントは以下の通りです。
- 処分の手間
- かかる費用
- 処分にかかる時間やスピード
- 品物の種類や状態
- 安全性や信頼性
まず、自分で分別や搬出ができるのか、手間をかけずに処分したいかによって選択肢が変わります。費用を最優先するなら自治体の粗大ゴミ回収や譲渡が候補になりますが、手間や時間がかかる場合があります。急いで処分したい場合や、家電リサイクル法対象品を処分したい場合は、不用品回収業者や販売店の回収サービスが適しています。
まだ使える品物であれば、売却を試みるのも良いでしょう。ただし、必ずしも売れるとは限らない点に注意が必要です。安全性や信頼性を重視するなら、許可を持つ業者を選ぶことが不可欠です。
悪質業者に注意!不用品回収事業者選びのコツ
「無料回収」をうたう業者を街中で見かけますが、本当に無料で処分してくれるのでしょうか。
家庭の不用品を無料で回収するには、その後の処理費用を賄う仕組みが必要です。トラックで巡回している業者の中には、後から高額な費用を請求したり、不法投棄したりする悪質なケースもあるため、安易に利用しない方が賢明です。
不用品回収業者の中には、残念ながら高額な料金を請求したり、回収した物を不法投棄したりする悪質な事業者が存在します。被害に遭わないためには、慎重な業者選びが大切です。
信頼できる不用品回収事業者を選ぶためのポイントは以下の通りです。
- 「一般廃棄物収集運搬業」の許可を得ているか確認する
- 見積もりの内訳が明確である
- 極端に安い料金や「無料回収」を強調し過ぎていない
- 会社の所在地や連絡先が明記されている
- 口コミや評判が悪くない
見積もりは複数社から取り、料金体系や追加料金の有無をしっかり確認しましょう。安過ぎる料金には注意が必要です。Webサイトなどで事業者の実態を確認し、過去の利用者の声も参考にすると良いでしょう。
粗大ゴミの処分は適切な方法を選んで賢く行おう
粗大ゴミの処分には、自治体の回収やリサイクルショップへの売却、不用品回収業者の利用などさまざまな方法があります。それぞれの費用相場やメリット・デメリットを理解し、品物の種類や量、手間、費用などを総合的に比較検討することが大切です。
特に不用品回収業者に依頼する際は、悪質な業者を避け、信頼できる事業者を選ぶことが重要です。本記事で解説した注意点や業者の選び方を参考に、ご自身の状況に合った適切な方法で、スムーズかつお得に粗大ゴミの処分を進めましょう。

早稲田大学国際教養学部卒。その後、不用品回収や遺品整理に特化したメディア「不用品回収の窓口」の立ち上げに参画。400社を超える不用品回収業者の業務改善や集客改善に注力。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品や遺品整理に関する多様な記事の執筆・監修も担当。