なんでもゴミ回収してくれる業者の選び方

なんでもゴミ回収してくれる業者の選び方

日々の生活や事業活動で出るゴミの処分方法に、頭を悩ませる方は多いでしょう。例えば、分別ルールが複雑だったり、自治体では回収してもらえない品物があったりすると、どのように処分すれば良いか迷ってしまうかもしれません。

そんなときに便利なのが不用品回収業者です。しかし、業者によって回収できる品目やサービス内容、料金体系はさまざまです。「なんでも回収します」という言葉をそのまま信じて依頼すると、後でトラブルになる可能性もあります。

この記事では、自治体のゴミ回収ルールと不用品回収業者が扱えない品目について整理し、信頼できる不用品回収業者を選ぶための具体的なチェックポイントを分かりやすく解説します。

自治体で回収できないゴミは?

自治体で回収できないゴミは?

自治体のゴミ回収には、ルール上処分できない品目があります。ここでは、その代表的な種類を解説します。

事業ゴミ

事業ゴミとは、会社や店舗、工場、事務所などの事業活動によって生じるゴミ全般を指します。これには、営利目的でない病院や学校、公共施設から出るゴミも含まれます。

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、事業者は自らの責任で事業ゴミを適正に処理することが義務付けられており、原則として自治体の家庭ゴミ収集に出すことはできません(※)。従って、事業ゴミは、許可を持つ専門の廃棄物処理業者に回収を依頼する必要があります。

事業ゴミを適切に処理するメリット・デメリットは次の通りです。

【メリット】

  • 法律を守り、罰則のリスクを回避できる
  • 環境に配慮した企業姿勢を示せる
  • 不法投棄などのトラブルを防げる

【デメリット】

  • 専門業者への委託費用がかかる
  • 信頼できる業者を選ぶ手間がかかる
  • 分別や保管場所の確保が必要になる場合がある

e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」

個人事業主が自宅兼事務所で出したゴミは、事業ゴミになるのでしょうか?

はい、事業活動に伴って出たゴミは、原則として事業ゴミ扱いになります。家庭ゴミとは明確に分け、不明な点は自治体に確認しましょう。

家電製品

エアコン、テレビ(ブラウン管式、液晶・プラズマ式)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は、家電リサイクル法の対象品目です(※)。これらの家電は、資源の有効活用と廃棄物の削減を目的としてリサイクルが義務付けられているため、自治体の粗大ゴミや一般ゴミとして処分することはできません。

家電製品を処分する際は、購入した店舗や新しい製品に買い替える店舗に引き取りを依頼するか、指定された引取場所へ自分で持ち込む、または許可を得た不用品回収業者に依頼する必要があります。

家電リサイクル法対象品目を適切に処分するメリット・デメリットは次の通りです。

【メリット】

  • 法律に基づき正しく処分できる
  • 資源の再利用に貢献できる
  • 不法投棄による環境汚染を防げる

【デメリット】

  • リサイクル料金と収集運搬料金が必要になる
  • 手続きや運搬に手間がかかる場合がある
  • 処分方法によってはすぐに処分できないことがある

経済産業省「家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)」

リサイクル料金は、いつ、どのように支払うのが一般的ですか?

購入店や回収業者に依頼する場合は、依頼時に支払うことが多いです。指定引取場所に持ち込む場合は、事前に郵便局で支払いを済ませておく必要があります。

資源有効利用促進法に該当するもの

「資源有効利用促進法(正式名称:資源の有効な利用の促進に関する法律)」は、資源の有効な利用の促進と廃棄物の発生抑制を目的とした法律です。この法律に基づき、パソコン(デスクトップ、ノート、ディスプレイなど)や小形二次電池は、メーカーによる回収・リサイクルが義務付けられています(※)。

これらの製品には貴重な資源が含まれており、適正な処理が必要とされるため、自治体の一般ゴミや粗大ゴミとして処分することは原則できません。処分する際は、メーカーに回収を申し込む、または国の認定を受けた事業者や、自治体が設置している回収ボックスを利用するなどの方法があります。

資源有効利用促進法対象品目を適切に処分するメリット・デメリットは次の通りです。

【メリット】

  • 法律に沿った適切な処分ができる
  • 貴重な資源のリサイクルに貢献できる
  • パソコンの場合、データ消去を含めた処理で情報漏えいリスクを低減できる

【デメリット】

  • 処分方法に応じた手続きが必要になる
  • 回収方法によっては費用が発生する場合がある
  • 自治体やメーカーによって回収ルールが異なる場合がある

e-Gov法令検索「資源の有効な利用の促進に関する法律」
経済産業省「家電リサイクル・パソコンリサイクル・小型二次電池リサイクル」

パソコンを処分する際のデータ消去は、自分で行った方が安全ですか?

メーカーや認定事業者はデータ消去を行いますが、より確実性を求めるなら、ご自身で専用ソフトを使うか物理的に破壊することをおすすめします。

自治体ごとの処分できない品目

これまで紹介した法律で定められた品目以外にも、各自治体が独自に回収・処理ができないと定めているものがあります。例えば、ピアノ、自動車のタイヤ、バッテリー、消火器、耐火金庫、土・砂・石・コンクリートブロックなどが挙げられます。

これらの品目は、自治体の処理施設の能力を超えていたり、専門的な処理が必要だったりするため、通常のゴミ収集や粗大ゴミ収集では対応できません。処分したい場合は、専門の処理業者や販売店に相談する必要があります。処分前には、お住まいの自治体のWebサイトやパンフレットなどでゴミ出しのルールを確認することが大切です。

自治体ごとに定められた処分できない品目を適切に扱うメリット・デメリットは次の通りです。

【メリット】

  • 自治体のルールを遵守して正しく処分できる
  • 処理困難物の不法投棄や不適切な処理を防げる
  • 専門業者による安全で確実な処理が期待できる

【デメリット】

  • 自治体の通常の収集サービスでは処分できない
  • 専門業者への依頼に費用がかかることが多い
  • 品目ごとに処分方法を調べる手間がかかる

自動車のタイヤやバッテリーのような処分困難物は、どこに相談すれば良いですか?

タイヤはカー用品店やガソリンスタンド、バッテリーは販売店や専門の回収業者に相談するのが一般的です。まずは自治体の案内を確認してみましょう。

自治体で分別して処分できる品目

自治体で分別して処分できる品目

多くの自治体では、家庭から出るゴミを効率的に処理し、資源を有効活用するために、種類ごとに分別して収集しています。ゴミの分別ルールは自治体によって細かく異なりますが、適切に分別して指定された日に出すことで、ほとんどの家庭ゴミは自治体で処分できます。

分別を怠ると収集されなかったり、リサイクルできるものが無駄になったりするため、ルールを守ることが大切です。ここでは、一般的に自治体で分別・回収されるゴミの区分と具体例を紹介します。

分別区分 主な対象物
可燃ゴミ(燃やすゴミ)生ゴミ(十分に水気を切る)
リサイクルできない紙くず(写真、感熱紙など)
木くず、落ち葉、草花
皮革製品、ゴム製品
一部のプラスチック製品(おもちゃ、文具など ※自治体の指示による)
不燃ゴミ(燃やさないゴミ)ガラス類(割れたもの、コップ、化粧品のびんなど)
陶磁器類(茶碗、皿、植木鉢など)
金属類(なべ、フライパン、やかん、金属製ハンガーなど)
小型家電(アイロン、ドライヤーなど ※自治体の指示による)
資源ゴミ容器包装プラスチック(プラマークの付いたトレイ、ボトル、袋など)
ペットボトル(キャップ、ラベルを外し、軽くすすぐ)
缶(アルミ缶、スチール缶。軽くすすぐ)
びん(飲料用、食品用。キャップを外し、軽くすすぐ)
古紙類(新聞、雑誌、段ボール、紙パック、雑がみ。種類ごとにひもで縛る)
粗大ゴミ家具類(タンス、本棚、テーブル、椅子など)
寝具(布団、マットレス、カーペットなど)
自転車
家電リサイクル法対象品目以外の大型家電(扇風機、掃除機など)
その他、自治体が定めるサイズ(例:一辺が30cm)を超えるもの(事前に申し込みと手数料が必要な場合が多い)

もしゴミの分別を間違えてしまったら、回収してもらえないのでしょうか?

はい、収集されずに残されたり、警告シールが貼られたりすることが多いです。正しい分別方法を確認し、次の収集日に出し直す必要があります。

不用品回収業者でも処分できない品目

不用品回収業者でも処分できない品目

不用品回収業者も、法や安全上の理由で回収できないゴミがあります。回収不可となる代表的な品目を紹介します。

生ゴミ・生き物など

不用品回収業者の多くは、生ゴミや食品、液体物の回収は行っていません。これは、一般廃棄物収集運搬業の許可が必要な場合が多いことや、運搬・保管中に腐敗や悪臭、害虫が発生しやすく、衛生的な問題が生じるためです。

同様に、犬や猫などのペット、その他の生き物、そして残念ながら亡くなったペットの死骸についても、動物愛護管理法などの関連法規や倫理的な観点、特別な処理が必要となることから、多くの業者が回収サービスの対象外としています。

亡くなったペットのことは、不用品回収業者ではなく、どこに相談すればよいですか?

お住まいの自治体の担当部署か、民間のペット葬儀社や霊園に相談するのが一般的です。火葬や供養の方法について相談できます。

危険物・医療器具類など

ガソリン、灯油、ペンキ、薬品、ガスボンベ、中身の入ったスプレー缶、花火といった引火性や爆発性、有害性を持つ危険物は、不用品回収業者では回収できません。また、注射針やメス、血液が付着したガーゼなどの感染性医療廃棄物、使用済みの医薬品なども、専門的な処理が必要であり、法律で厳しく規制されているため、回収対象外となります。

これらの品物は、作業員や周囲の安全を脅かすリスクが高く、特別な許可や設備を持つ専門業者でなければ扱えません。処分する際は、購入した店舗や専門の処理業者、または自治体の指示に従ってください。

中身が残っているスプレー缶やカセットボンベは、どうやって処分すれば安全ですか?

必ず火気のない風通しの良い屋外で中身を出し切り、自治体のルールに従って資源ゴミや有害ゴミに出してください。穴開けは不要な場合が多いです。

分別不要でなんでもゴミ回収してくれる業者の選び方

分別不要でなんでもゴミ回収してくれる業者の選び方

「なんでも回収」を謳う業者を選ぶ際は注意が必要です。信頼できる不用品回収業者を見つけるためのポイントを解説します。

サービス内容が充実しているかどうかを確認する

サービス内容が充実しているかどうかを確認する

不用品回収業者によって、提供されるサービス内容は異なります。基本的な回収作業だけでなく、便利なオプションサービスを用意している業者もあります。依頼前にサービス内容をしっかり確認し、自分のニーズに合った業者を選びましょう。

サービス内容を確認する際のチェックポイントは以下の通りです。

  • 回収できる品目の種類(大型家具、家電、細かいゴミなど)
  • 分別や梱包、搬出作業をどこまで行ってくれるか
  • ハウスクリーニングや遺品整理、買取などのオプションがあるか
  • エアコンの取り外しなど、専門作業に対応しているか
  • 即日対応や日時指定が可能か
  • 万が一の際の損害賠償保険に加入しているか

損害賠償保険に加入している業者だと、どんな時に安心ですか?

万が一、作業中に家財や建物を傷つけられた場合に、補償を受けられます。加入の有無だけでなく、補償内容や上限額も確認しておくと良いでしょう。

対応範囲を確認する

不用品回収業者には、サービスを提供できる地域が定められています。お住まいの地域が対応エリア外だと、依頼自体ができません。また、建物の種類や周辺環境によっては追加料金が発生したり、作業が難しくなったりする場合もあるため、事前にしっかり確認することが大切です。

見積もりや問い合わせの際には、以下の点を確認しましょう。

  • 自宅の住所が業者の対応エリアに含まれているか
  • 戸建てかマンション(アパート)か、建物の種類
  • マンションなどの集合住宅の場合、部屋の階数とエレベーターの有無
  • 作業場所の近くに回収トラックを停めるスペースがあるか
  • 搬出経路(階段、廊下、玄関など)の幅や形状は十分か
  • 前面道路の道幅(大型トラックが進入可能か)

見積もり額、内訳を確認する

不用品回収業者に依頼する際は、事前に見積もりを取り、料金トラブルを防ぎましょう。合計金額だけでなく、作業内容や項目ごとの料金が明記されているか、追加料金が発生する条件なども確認することが重要です。複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

見積もり額と内訳を確認する際のチェックポイントは以下の通りです。

  • 見積もり合計額が明確に記載されているか
  • 基本料金、出張費、車両費などの内訳
  • 品物ごとの回収費用や作業費(搬出、階段など)
  • オプション作業(エアコン取り外しなど)の料金
  • 追加料金が発生する可能性とその条件
  • 見積もりの有効期限
  • キャンセルに関する規定

見積もり後に追加料金が発生することはありますか?どんな場合に多いですか?

見積もり時より回収物が増えた場合や、搬出作業が想定より困難だった場合などに発生する可能性があります。事前にどのような場合に追加料金がかかるか、しっかり確認しましょう。

口コミ・実績を確認する

業者の信頼性を見極めるには、実際に利用した人の声である口コミや、これまでの作業実績を確認することが有効です。業者のWebサイトだけでなく、外部の口コミサイトやSNSなども参考に、客観的な情報を集めるようにしましょう。ただし、口コミは個人の主観に基づくため、内容を鵜呑みにせず、総合的に判断することが大切です。

口コミ・実績を確認する際のチェックポイントは以下の通りです。

  • 業者のWebサイトに具体的な作業事例や顧客の声が掲載されているか
  • 外部の口コミサイトや比較サイトでの評価やコメント
  • 良い評価だけでなく、悪い評価の内容とその理由
  • SNSなどでの評判や言及
  • 創業年数や年間作業件数などの実績データ
  • 法人や自治体との取引実績があるか

口コミを参考にする際、どのような点に注意すれば良いですか?

極端な評価だけでなく、具体的な作業内容やスタッフの対応について書かれたコメントを参考にしましょう。複数のサイトや情報源を確認し、総合的に判断することが大切です。

まとめ

ゴミの処分にお困りの際は、まず自治体のルールを確認することが大切です。自治体では事業ゴミや家電リサイクル法対象品目などが回収できず、また不用品回収業者も危険物や生ゴミは扱えない場合が多いことを理解しておきましょう。この記事で紹介した業者の選び方のポイント、特にサービス内容、見積もり、実績などを参考に、ご自身の状況に合った信頼できる業者を見つけて、適切にゴミを処分しましょう。

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