着なくなった衣類がクローゼットに溜まってしまうことは、多くの人が経験する悩みの一つです。どのように処分すれば良いか分からず、そのまま放置してしまいがちです。
しかし、衣類の処分方法は一つではありません。自治体の回収を利用するだけでなく、売却してお金に換えたり、必要としている人に譲ったりすることも可能です。ご自身の状況や衣類の状態に合わせて適切な方法を選ぶことが大切です。
本記事では、代表的な衣類の処分方法とその費用相場、メリット・デメリットを詳しく解説します。さらに、処分する際の注意点や、買い替えを検討するタイミングについてもご紹介します。

早稲田大学国際教養学部卒。その後、不用品回収や遺品整理に特化したメディア「不用品回収の窓口」の立ち上げに参画。400社を超える不用品回収業者の業務改善や集客改善に注力。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品や遺品整理に関する多様な記事の執筆・監修も担当。
このページの内容
衣類の処分にかかる費用相場
衣類の処分にかかる費用は、選択する方法によって大きく異なります。主な処分方法ごとの費用相場を以下にまとめました。
処分方法 | 費用相場の目安 |
---|---|
自治体のゴミ回収(燃えるゴミ・資源ゴミなど)を利用する | 無料(指定ゴミ袋代がかかる地域あり) |
店舗で回収・下取りしてもらう | 無料(持ち込みの場合がほとんど) |
リサイクルショップで売却する | 無料(持ち込み・宅配)。売却益が見込める場合も |
フリマアプリやオークションで売却する | 販売手数料(売上の約10%)+送料(数百円から) |
不用品回収業者に依頼する | 3,000円~(単品の場合)、他の物とまとめて数万円~ |
欲している人に譲る | 無料(手渡しの場合)、送料(郵送の場合) |
上記のように、多くの方法では費用をかけずに衣類を処分できます。
自治体のゴミ回収や店舗回収は基本的に無料です。リサイクルショップやフリマアプリでは、状態が良ければわずかながら収入になる可能性もありますが、フリマアプリでは手数料や送料を考慮する必要があります。
不用品回収業者は他の不用品とまとめて処分する際には便利ですが、衣類のみの処分では割高になる傾向があるため注意が必要です。
譲渡は送料を除けば費用はかかりません。処分したい衣類の量や状態、手間などを考慮して、ご自身に合った方法を選びましょう。
費用相場はあくまで目安とのことですが、特に変動が大きいのはどの方法ですか?
不用品回収業者の料金は、業者や回収量、搬出状況によって大きく変動します。また、料金体系やサービス内容も業者ごとに異なるため、見積もり時の確認が重要です。
衣類の処分方法

衣類の処分方法は様々です。ここでは代表的な6つの方法と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
自治体のゴミ回収(燃えるゴミ・資源ゴミなど)を利用する
お住まいの自治体が定めるルールに従って、衣類をゴミとして出す方法です。多くの自治体では、衣類は「燃えるゴミ」または「資源ゴミ(古布)」に分類されます。
この方法のメリットは、処分費用がほとんどかからない点です。指定のゴミ袋代が必要な地域もありますが、基本的には無料で手軽に処分できます。また、回収日に合わせて出せば確実に処分される安心感もあります。
一方、デメリットとしては、燃えるゴミとして出す場合、資源として再利用されないことが挙げられます。また、資源ゴミとして出す場合でも、回収日が限られている点や、一度に大量の衣類を処分しにくい点が挙げられます。自治体のルールを事前に確認する手間も必要です。
自治体のルールはどこで確認するのが一番確実ですか?
お住まいの自治体の公式ウェブサイトや、配布されるゴミ収集カレンダー、ゴミ分別アプリなどで確認するのが最も確実です。最近では、AIチャットボットで分別方法を案内する自治体もあります。
店舗で回収・下取りしてもらう
購入したアパレルブランドの店舗や一部の商業施設では、不要になった衣類を回収するサービスを提供していることがあります。多くの場合は、店舗に設置された専用の回収ボックスに持ち込むだけで手続きは完了します。
この方法のメリットは、買い物のついでなどに気軽に利用できる手軽さです。また、衣類が再利用されるため、環境貢献や社会貢献につながるという点も挙げられます。クーポンなどの特典が得られれば、お得に新しい服を購入できる可能性もあります。
一方で、デメリットとしては、店舗まで衣類を持ち運ぶ手間がかかる点が挙げられます。近くに対象店舗がない場合は利用しにくいでしょう。また、回収対象が限定されていたり、下取りサービスがあったとしても、その対価はあまり期待できなかったりする場合が多いです。
近所に回収ボックスがあるか、どうやって探せますか?
利用したいアパレルブランドや商業施設のウェブサイトで確認するのが確実です。「衣類回収」「リサイクル」等のキーワードで探すと良いでしょう。回収衣類の一部は災害支援物資として活用されることもあります。
リサイクルショップで売却する

まだ着られる状態の衣類は、リサイクルショップに持ち込んで売却する方法もあります。多くの店舗では、直接衣類を持ち込む店頭買取が主流ですが、店舗によっては宅配買取や出張買取サービスを提供している場合もあります。
この方法のメリットは、不要な衣類を手軽に現金化できる点です。店頭買取であれば、その場で査定が行われ、すぐに現金を受け取れる即金性が魅力です。また、対面での取引なので、不明点を質問しやすく、安心して手続きを進められます。
一方、デメリットとしては、買取価格が低くなる傾向があることです。特にノーブランド品やファストファッションの衣類は、値段が付かないことも珍しくありません。また、店舗まで衣類を持ち運ぶ手間がかかる点や、査定の結果、買取を断られて持ち帰らなければならない可能性がある点も考慮が必要です。
少しでも高く買い取ってもらうコツはありますか?
季節に合った衣類をシーズン前に持ち込むのがおすすめです。綺麗な状態にし、付属品も揃えましょう。複数の店舗で見積もりを取る「相見積もり」も有効な手段です。
フリマアプリやオークションで売却する
メルカリやヤフオク!などのフリマアプリ、オークションサイトを利用して、個人間で衣類を売買する方法です。
利用者が多いため、様々な衣類が取引されており、状態の良いものやブランド品は思わぬ高値で売れることもあります。
この方法のメリットは、比較的高値で売れる可能性がある点です。自分で価格を設定できるため、納得のいく金額で取引しやすいでしょう。また、スマートフォン一つで出品から発送手続きまで完結できる手軽さも魅力です。
一方で、デメリットは出品作業から梱包、発送まで全て自分で行う手間がかかることです。写真撮影や説明文作成に時間がかかり、購入者とのやり取りや値下げ交渉に応じる必要も出てきます。
また、販売手数料(売上金の約5~10%程度)や送料が自己負担となる点、個人間取引ゆえのトラブルリスクも考慮する必要があります。
送料を抑えるにはどうすれば良いですか?
コンパクトに畳んで梱包し、各配送サービスの料金を比較検討することが重要です。匿名配送サービスを利用すれば、個人情報を相手に知られず取引できます。
不用品回収業者に依頼する
不用品回収業者に依頼して、衣類を自宅まで回収に来てもらう方法です。電話やウェブサイトから申し込み、見積もりを確認した上で回収日時を調整します。
衣類単品での回収を受け付けている業者もありますが、多くの場合、家具や家電など他の不用品とまとめて回収を依頼する際に利用されます。引っ越しや大掃除などで大量の不用品が出る場合に便利なサービスと言えるでしょう。
この方法のメリットは、自宅まで回収に来てくれるため、自分で運び出す手間が一切かからない点です。衣類以外の様々な不用品も分別不要で一度にまとめて処分できる利便性も大きな魅力です。また、自分の都合に合わせて回収日時を指定できる業者が多いこともメリットです。
一方で、デメリットとしては、費用が高額になる傾向がある点が挙げられます。特に衣類のみの回収では割高になる可能性が高いです。
衣類数点だけでも依頼できますか?
業者によっては最低料金が設定されている場合や、単品回収に対応していない場合もあります。事前に少量でも対応可能か確認しましょう。複数の不用品をまとめて依頼する方が割安になることが多いです。
欲している人に譲る
まだ着られる状態の衣類を、友人や知人、親戚など、必要としている人に直接譲る方法です。
身近に譲る相手が見つからない場合は、地域の情報掲示板やSNSなどを活用して譲り先を探すこともできます。また、NPOやNGOなどの支援団体を通じて、国内外の衣類を必要としている人々に寄付するという選択肢もあります。
この方法のメリットは、大切にしていた衣類を、必要としている人に直接役立ててもらえる点です。支援団体への寄付は社会貢献にもつながります。
一方で、デメリットとしては、譲る相手を探す手間がかかることが挙げられます。相手が見つかっても、サイズや好みが合わない可能性もあります。相手に気持ちよく受け取ってもらうためには、事前に洗濯するなど、衣類の状態に配慮する必要があるでしょう。
寄付する場合、どんな団体を選べば良いですか?
団体の活動内容や寄付された衣類の使途、送料負担の有無などを確認し、ご自身の考えに合う信頼できる団体を選びましょう。団体によっては未使用品のみ受け付けている場合もあります。
衣類の寿命・処分・買い替えのタイミング

衣類の寿命は、素材や品質、着用頻度、お手入れの方法によって大きく変わるため、一概に「何年」と断言することは困難です。しかし、処分や買い替えを検討すべきサインはいくつかあります。
例えば、Tシャツや肌着など直接肌に触れるものは、首元のヨレや黄ばみ、生地全体のくたびれ感が目立ってきたら寿命のサインと考えられます。セーターであれば毛玉や型崩れ、アウターなら擦り切れや色あせなどが判断基準になるでしょう。
目立つシミや汚れが落ちなくなった場合や、破れ、ほつれが生じた場合も処分のタイミングです。
また、物理的な劣化だけでなく、サイズが合わなくなったり、デザインが古く感じられたりして、結果的に「1年以上袖を通していない」衣類も、クローゼットの整理対象として処分を検討する良い機会かもしれません。
無理に着続けるよりも、今の自分に似合うもの、着ていて心地よいものを選ぶことが大切です。
就職や転職、引っ越しといったライフスタイルの変化も、手持ちの衣類を見直し、新しいものへと買い替える良いきっかけとなるでしょう。
「1年以上着ていない」以外に、手放す判断基準はありますか?
着ていても気分が上がらない、今の自分の体型や雰囲気に合わないと感じる衣類も手放すサインです。衣替えのタイミングは、手持ちの服全体を見直す良い機会になります。
衣類を処分するときの注意点

衣類を処分する際には、いくつか注意点があります。処分前の確認事項や避けるべき行動、方法選びのポイントを解説します。
処分前に行うべきこと
衣類を処分する前には、いくつか確認しておきたい点があります。
まず最も重要なのは、ポケットの中に何も入っていないかを確認することです。
ハンカチやティッシュはもちろん、現金や鍵、カード類など大切なものが入ったまま処分してしまうケースは意外と少なくありません。特に洗濯前に確認する習慣がない方は、捨てる前にもう一度、全てのポケットをチェックするようにしましょう。
次に、衣類の状態を確認し、必要であれば洗濯やクリーニングを行いましょう。
特にリサイクルショップでの売却や、フリマアプリでの出品、知人への譲渡、支援団体への寄付などを考えている場合は、綺麗な状態にしておくことがマナーであり、査定額アップやスムーズな取引にもつながります。汚れやシミ、臭いがある場合は、できる限り落としてから次のステップに進みましょう。
また、処分方法によっては、ボタンやファスナーなどの付属品の取り扱いについてルールが定められている場合があります。
例えば、資源ゴミとして出す際に、金属製の装飾品は取り外すよう指示している自治体もあります。売却する場合も、取れかかったボタンなどは付け直しておくと良いでしょう。
最後に、どの処分方法を選ぶかによって、衣類を「燃えるゴミ」「資源ゴミ」「売るもの」「譲るもの」などに分別しておくと、その後の作業がスムーズに進みます。
ポケット以外に確認すべき点はありますか?
クリーニングのタグや安全ピン、ブローチなどが付いていないか確認しましょう。特に子供服は名札が付いたままになっていないか注意が必要です。
やってはいけないこと
衣類の処分において、絶対に避けるべき行動があります。
最も重要なのは、不法投棄をしないことです。公園や山林、道路脇、他人の敷地などに衣類を捨てる行為は、廃棄物処理法に違反し、罰金や懲役刑の対象となる可能性があります。環境汚染の原因にもなるため、絶対にやめましょう。
また、お住まいの自治体が定めるゴミの分別ルールや収集日を守らないことも問題です。
燃えるゴミと資源ゴミ(古布)の分別を間違えたり、指定外の日に出したりすると、回収されずに残されてしまうことがあります。これは近隣住民とのトラブルに発展する可能性もあるため、必ずルールを確認し、遵守してください。
さらに、個人情報が含まれる可能性のある衣類の処分には注意が必要です。
例えば、学校の制服や企業の作業着など、名前の刺繍やタグが付いているものは、そのまま捨てると個人情報が悪用されるリスクがあります。処分する際は、個人が特定できる部分を切り取るか、マジックで塗りつぶすなどの対策を講じましょう。
最後に、寄付やリサイクルに出す際に、受け入れ対象外のものを送ることも避けるべきです。ひどく汚れたもの、濡れたもの、破れたもの、下着類などは、多くの団体や店舗で受け付けていません。事前に受け入れ基準を確認し、対象外のものは送らないようにしましょう。
処分方法の検討ポイント

数ある衣類の処分方法の中から最適なものを選ぶためには、いくつかのポイントを検討することが大切です。
まず、処分したい衣類の状態を確認しましょう。まだ十分に着用できる状態の良いものであれば、売却や譲渡といった選択肢が考えられます。一方、汚れや傷みがひどく、再利用が難しい場合は、自治体のゴミ回収を利用するのが現実的です。
次に、どれだけの手間をかけられるかを考えます。
店舗への持ち込みやフリマアプリでの出品・発送作業が面倒だと感じる場合は、自宅まで回収に来てくれる不用品回収業者や、自治体のゴミ回収が適しているかもしれません。
費用面も重要な判断基準です。無料で処分したいのか、多少費用がかかっても手間を省きたいのか、あるいは少しでも収入を得たいのかによって、選ぶべき方法は異なります。
処分にかけられる時間も考慮しましょう。すぐに処分したい場合は、リサイクルショップへの持ち込みや不用品回収業者が早いですが、フリマアプリは売れるまで時間がかかる可能性があります。
さらに、環境への配慮や社会貢献を重視するなら、リサイクルやリユースにつながる店舗回収や寄付が良い選択肢となります。
これらのポイントを総合的に比較検討し、ご自身の状況や衣類の状態に最も合った処分方法を見つけましょう。
悪質業者に注意!不用品回収事業者選びのコツ
不用品回収業者の中には、残念ながら悪質な業者が存在します。よくあるトラブルとしては、「無料回収」を謳い文句に近づき、作業後に高額な追加料金を請求するケースや、回収した不用品を適切に処理せず不法投棄するケースが挙げられます。
不法投棄された場合、依頼者自身が責任を問われる可能性もあるため注意が必要です。また、回収作業中に家財を破損させたり、個人情報を不正に利用したりするリスクも考えられます。
悪質な業者は、「無料」や「格安」を過度に強調する広告を出していたり、所在地や連絡先が不明瞭だったりすることがあります。突然訪問してきたり、見積もりを出さずに作業を始めようとしたり、契約を急かしたりする業者にも警戒が必要です。
信頼できる業者を選ぶためには、まず自治体の「一般廃棄物収集運搬業許可」または委託を受けているかを確認しましょう。古物商許可だけでは家庭ゴミの回収はできません。料金体系が明確で、作業前に必ず書面で見積もりを提示してくれる業者を選ぶことが重要です。
複数の業者から見積もりを取り、比較検討することも有効です。また、インターネット上の口コミや評判を確認したり、契約内容をしっかり確認したりすることも、トラブルを避けるための大切なポイントとなります。
「一般廃棄物収集運搬業許可」はどうやって確認できますか?
業者のウェブサイトで許可番号を確認したり、見積もり時に許可証の提示を求めたりします。契約前にキャンセル料や追加料金の規定についてもしっかり確認しましょう。
まとめ
不要になった衣類の処分方法は、自治体のゴミ回収から店舗での回収、リサイクルショップやフリマアプリでの売却、不用品回収業者の利用、知人への譲渡や寄付まで多岐にわたります。
費用をかけずに手軽に処分できる方法もあれば、手間はかかるものの収入を得られる可能性のある方法、社会貢献につながる方法もあります。衣類の状態や量、処分にかけられる手間や時間、費用などを考慮し、ご自身に最適な方法を選びましょう。
処分前にはポケットの中身を確認し、自治体のルールや各サービスの利用規約を守ることが大切です。特に不用品回収業者を利用する際は、悪質な業者に注意し、信頼できるか慎重に見極めてください。
この記事を参考に、適切な方法で衣類を処分し、クローゼットも気持ちもすっきりさせましょう。

早稲田大学国際教養学部卒。その後、不用品回収や遺品整理に特化したメディア「不用品回収の窓口」の立ち上げに参画。400社を超える不用品回収業者の業務改善や集客改善に注力。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品や遺品整理に関する多様な記事の執筆・監修も担当。