年齢を重ねるにつれて、ものは増えがち。いつか片付けなければと考えている方も多いのではないでしょうか。元気なうちに身の回りを整理しておくことは、ご自身の快適な暮らしだけでなく、将来の家族の負担を減らすことにもつながります。
しかし、どこから手をつければ良いのか、費用はどれくらいかかるのか、業者に頼むべきかなど、わからないことも多いかもしれません。
本記事では、家財整理の定義から具体的な作業手順、費用相場、メリット・デメリット、信頼できる業者の選び方まで、網羅的に解説します。

早稲田大学国際教養学部卒。その後、不用品回収や遺品整理に特化したメディア「不用品回収の窓口」の立ち上げに参画。400社を超える不用品回収業者の業務改善や集客改善に注力。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品や遺品整理に関する多様な記事の執筆・監修も担当。
このページの内容
家財整理とは

家財整理とは、ご自身が元気なうちに身の回りの持ち物を整理することです。家具や家電、衣類など、生活に必要なもの以外を分別し、不要なものを処分する作業を指します。
亡くなった方の持ち物を整理する遺品整理と、ものを整理するという点では共通していますが、家財整理はご自身が主体となって行う点が大きな違いです。
高齢化が進む現代においては、終活の一環として、家財整理の必要性が高まっています。
家財整理と遺品整理の違い
家財整理と遺品整理は、目的や対象、行うタイミングが異なります。
作業目的について、家財整理はご自身が快適に過ごしたり、将来の負担を減らすために不要なものを処分することです。一方、遺品整理は故人を偲び、残された品々を遺族で整理・供養することが主な目的となります。
対象物では、家財整理は現在住んでいる方の所有物のうち、不要と判断されたものが対象です。例えば、使わなくなった家具や衣類などが該当します。遺品整理では、故人が所有していた全ての物品、具体的には故人の私物全般が対象となります。
タイミングに関しては、家財整理はご自身の意思でいつでも、例えば引っ越しや生前整理の一環として行えます。遺品整理は故人の死後、葬儀や四十九日、相続手続きなどのタイミングで行われることが一般的です。
親が施設に入居する際の家の片付けは、家財整理にあたりますか?
はい、ご本人がご存命のうちに行う整理ですので家財整理の一環です。その際は、ご本人の意思を尊重し、必要な契約書類などの場所を明確にしておくことが大切ですよ。
家財整理の相談先

家財整理の相談先は、主に専門業者と公的な相談窓口があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
遺品整理業者
遺品整理業者は、故人の遺品整理を専門に行う業者です。主なサービス内容としては、以下のようなものが挙げられます。
遺品の仕分け:家具、家電、衣類、貴重品、思い出の品などを丁寧に分別する
不用品の処分:法令を遵守し、適切に不用品を回収・処分する
遺品の供養対応:仏壇や神棚、写真など、供養が必要な品の合同供養や魂抜きの手配を行う
これらの業者は、遺品整理に関する専門知識や経験が豊富ですが、基本的には故人の持ち物を対象としたサービス提供が中心であり、ご自身が生存中に不要と判断した物品を整理する家財整理とは、厳密には業務範囲が異なります。
ただし、近年では生前整理の一環として家財整理の相談に対応する遺品整理業者も増えています。
一般社団法人 家財整理相談窓口
一般社団法人家財整理相談窓口は、家財整理に関する悩みや不安を抱える消費者を中立的な立場から支援する組織です。
窓口の主な役割として、家財整理の基本的な進め方や注意点に関する情報提供、利用者の状況に応じたアドバイスの提供、そして信頼できる専門業者や関連士業(弁護士、司法書士など)の紹介などが挙げられます。
加えて、不適切な請求やサービスを行う悪質業者から消費者を守るための啓発活動や情報発信にも力を入れています。
相談窓口に連絡したら、必ず業者を紹介されるのでしょうか?
いいえ、相談だけでも問題ありません。業者の紹介はあくまで希望者に対して行われますので、まずは気軽に相談してみるのが良いでしょう。
家財整理の作業内容

家財整理の作業は、主に「家財の整理」「財産の整理」「部屋の清掃」「不用品の処分」の順に進みます。具体的な内容を解説します。
家財の整理
まず、家の中にある全ての持ち物を対象に、必要なものと不要なものに仕分けます。仕分けの基準としては、「使用頻度」「価値」「保管期間」などを設けると判断しやすくなります。
例えば、「1年以上使っていない衣類」や「いつか使うかもと長期間保管している雑貨」などは、処分の候補と考えて良いでしょう。一方で、まだ使えるものや価値のあるものは、売却や寄付も検討できます。
特に写真や手紙、趣味の品といった思い出の品は、無理に処分を決める必要はありません。無理に捨てて後悔しないよう、データ化して残すなどの方法も検討しましょう。
どうしても捨てられない思い出の品は、どう整理すれば良いでしょうか?
無理に捨てる必要はありませんよ。写真ならデータ化して保存したり、一時的にトランクルームを借りて保管したりする方法もあります。
財産の整理
家財整理では、生活用品だけでなく、大切な財産もしっかりと整理・管理することが重要です。特に以下のものは、どこにあるか明確にし、紛失しないように注意深く分類・保管しましょう。
- 契約書類、保険証券、年金手帳、不動産の権利書などの重要書類
- 現金、預貯金通帳、実印、銀行印
- 指輪やネックレスなどの貴金属、宝石類、価値のある骨董品やブランド品
- 株券や債券、投資信託などの有価証券
- インターネットバンクや証券口座のID・パスワードなどのデジタル資産
これらの財産を整理する際には、何がどこに保管されているかを一覧にしたチェックリストを作成するのがおすすめです。
部屋の清掃
家財の整理が終わったら、部屋の清掃を行います。長年住んでいると、普段の掃除だけでは落としきれない汚れが溜まっていることがあります。特に以下の箇所は念入りに掃除しましょう。
- 水回り:キッチンや浴室、トイレのカビや水垢を専用の洗剤やブラシで除去する
- 畳:掃除機でホコリを吸い取り、固く絞った雑巾で畳の目に沿って拭き、しっかり乾燥させる
- 窓:ガラスクリーナーで窓ガラスを磨き、サッシの溝に溜まった土埃や汚れも忘れずに取り除く
ただし、長期間にわたって蓄積した頑固な汚れや、広範囲に発生したカビ、大量の害虫、強い異臭など、通常の清掃では対応が難しいケースもあります。自力での対処が困難だと感じた場合は、無理をせず特殊清掃の専門業者に相談することを検討しましょう。
不用品の処分
整理で出た不用品は、適切な方法で処分する必要があります。主な処分方法には、自治体の回収サービス、不用品回収業者への依頼、リサイクルショップやフリマアプリでの売却・譲渡の3つがあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
処分方法 | メリット | デメリット | 費用目安 |
---|---|---|---|
自治体回収 | 費用が比較的安い | 自分で指定場所まで運ぶ必要あり、回収日限定 | 粗大ゴミ処理券数百円~数千円/点(例:椅子1点400円〜1,000円) |
業者処分 | 搬出から任せられる、分別不要な場合も、日時指定可能 | 費用が高めになる傾向 | 数千円~/点(例:ベッド1点3,000〜10,000円)、トラック積み放題プランも |
リサイクル・買取 | 処分費用がかからず収入になる可能性、再利用される | 状態が良いもの限定、値段が付かないことも | 無料~(買取額による) |
処分したい品物の種類や量、かけられる手間や予算に応じて、自分に合う方法を選びましょう。
家電リサイクル対象品以外に、自治体で回収してもらえない不用品はありますか?
はい、パソコンやバッテリー、消火器などは専門の処分ルートがあります。自治体のホームページなどで確認するか、回収業者に相談するのが確実です。
家財整理の費用相場
家財整理を業者に依頼する場合の費用は、部屋の広さや物量で変わります。
一般的な3LDKの場合、相場は10万円から50万円程度です。間取り別の目安としては、1R/1Kで3万円~、2LDKで8万円~、4LDK以上で20万円~となります。
費用の主な内訳は人件費や廃棄物処理費、その他車両費などが一般的です。ただし、特殊清掃やエアコン取り外しなど、特別な作業が必要な場合は追加費用が発生することがあります。
見積もり後に追加料金が発生することはありますか?
見積もり時に申告がなかった物量や、想定外の特殊作業が必要になった場合などに発生する可能性があります。契約前に追加料金の規定をしっかり確認しておくことが重要です。
家財整理を業者に依頼するメリット
家財整理を業者に依頼するメリットは主に「専門性」「効率性」「リスク軽減」です。具体的に解説します。
作業を任せられる
家財整理を業者に依頼する大きなメリットは、時間と手間がかかる作業を全て任せられる点です。専門知識や経験が必要な作業も安心して委託できます。
具体的には、以下のような専門的な対応が可能です。
- 法令を遵守した適切な不用品処分
- 価値の見極めが難しい骨董品や貴金属の適切な査定と取り扱い
- 大型家具や重量物の安全な解体・搬出作業
これらの作業を自分で行う場合、知識不足や経験不足からトラブルが生じたり、怪我をしたりするリスクがあります。
しかし、経験豊富な業者に依頼すれば、同様の作業でも1〜2日で完了させることが可能な場合が多く、大幅な時間節約につながります。
スムーズに作業を進められる
専門業者に依頼すると、家財整理の作業を効率的かつスムーズに進めることができます。
多くの業者は、確立された作業フローに沿って業務を進めます。まず、作業開始前に丁寧な事前打ち合わせを行い、依頼者の要望や注意点、作業範囲などを詳細に確認し、具体的な作業計画を立てます。
次に、計画に基づいて経験豊富なスタッフが手際良く家財の仕分け作業を実施します。最後に、分別された不用品を適切に梱包・搬出し、法令を遵守したルートで処分場へ運搬、またはリサイクル施設へ持ち込みます。
このように一連の流れがシステム化されているため、無駄なく作業が進み、短時間での完了が可能です。
作業当日は、ずっと家にいて立ち会う必要がありますか?
必ずしも必須ではありませんが、トラブル防止や最終確認のため、可能な限り立ち会うことをおすすめします。もし難しい場合は、事前に業者へ相談してみましょう。
専門知識がある
家財整理を依頼する業者が持つ専門知識は、作業の質と安心感に直結します。特に法律に関する知識は重要で、例えば廃棄物処理法を遵守した適切な処分方法を知らなければ、不法投棄などのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
また、生前整理としての家財整理では、将来の相続を見据えた財産の仕分けや整理について、相続法に関する基本的な知識があるとより適切なアドバイスが期待できます。
さらに、遺品整理士などの専門資格を持つスタッフが在籍している業者には大きな優位性があります。遺品整理士は、単にものを片付けるだけでなく、品物の価値判断、供養に関する知識が豊富です。
同様に、古物商許可を持つ業者であれば、不用品の中から価値のあるものを買い取ってくれることもあります。
家財整理を業者に依頼するデメリット
専門業者への依頼には、費用がかかるというデメリットがあります。また、残念ながら悪質な業者も存在するため、業者選びを誤るとトラブルに巻き込まれる「リスク」も考慮する必要があります。
費用がかかる
家財整理を業者に依頼する場合、当然ながら費用が発生します。
費用は主に、作業時間やスタッフ数に応じた基本料金と、不用品の量や種類に応じた処分費用で構成されますが、総額の多くを占めるのは人件費と廃棄物処理費です。
これらに加え、エアコンの取り外しや特殊清掃、ハウスクリーニング、遠方への出張費など、依頼する作業内容によってはオプション料金が別途必要となるケースも少なくありません。
そのため、業者に依頼する際は複数の業者から見積もりを取り、料金体系やサービス内容をしっかりと比較検討することが重要です。一社だけで決めずに比較することで、適正な価格か、サービス内容が要望に合っているかを見極めやすくなります。
悪質な遺品整理業者とはトラブルになる
残念ながら、家財整理や遺品整理の業界には、依頼者の弱みにつけ込む悪質な業者も存在します。
- 訪問見積もりをせず、電話だけで極端に安い金額を提示したり、見積書の内容を曖昧に記載したりしている(「一式」など)
- 「今日契約すれば安くなる」などと言葉巧みに契約を急かし、考える時間を与えずに即日契約を強要する
- 一般廃棄物収集運搬許可など、業務に必要な許可を取得していない、または提示を拒む
上記のような特徴を持つ業者に依頼すると、見積もりとかけ離れた高額な料金を請求されたり、回収した不用品を山中などに不法投棄されたりする恐れがあります。思わぬトラブルを避けるためには、業者選びを慎重に行うことが不可欠です。
万が一、法外な追加料金を請求された場合はどうすれば良いですか?
その場ですぐに支払わず、まずは契約書の内容を確認してください。納得できない場合は、消費生活センターなどに相談しましょう。
家財整理・遺品整理業者選びのポイント

業者選びでは「信頼性」「透明性」「専門性」が重要です。この3点を中心に、選定ポイントを解説します。
料金体系が明確である
信頼できる業者を選ぶ上で、料金体系が明確であることは非常に重要なポイントです。後々のトラブルを避けるためにも、以下の点をしっかり確認し、適正な料金設定かどうかを判断しましょう。
- 見積書に「作業費」「人件費」「車両費」「廃棄物処理費」など、項目別の詳細な内訳が記載されている
- どのような場合に、いくらの追加料金が発生するのか、その規定が事前に具体的に示されている
- 基本料金にはどこまでの作業やサービスが含まれているのか、その範囲がはっきりと説明されている
料金体系が不透明な業者では、作業後に見積もりにはなかった高額な追加料金を請求されるトラブルが発生しやすいため、注意が必要です。
スタッフの対応が丁寧である
スタッフ対応の質は、業者の信頼性を判断する重要な要素です。問い合わせの段階から丁寧で親身な対応か、見積もり時にはこちらの話をよく聞き、作業内容や料金をわかりやすく説明してくれるかを確認しましょう。
こうした姿勢は信頼関係の基本です。加えて、万が一トラブルが発生した際のクレーム対応が迅速かつ誠実かどうかも、優良業者を見極める上で大切なポイントになります。
詳しい専門家がいる
家財整理を安心して任せるためには、専門知識を持つスタッフが在籍しているかを確認することも大切です。特に、以下のような資格や許可を持つ業者は、信頼性が高いと考えられます。
遺品整理士:遺品の取り扱いや供養、関連法規に関する専門知識を持つ
古物商許可:不用品の中から価値のあるものを買い取る際に必要な許可
一般廃棄物収集運搬業許可:家庭から出る一般廃棄物を収集・運搬するために自治体から受ける許可
これらの資格や許可の有無は、業者のWebサイトで確認できることが多いです。
訪問見積もりを対応している選ぶ
業者を選ぶときは、訪問見積もりを依頼しましょう。
訪問見積もりは、正確な料金を把握するために不可欠です。実際に現場の物量や状況を確認してもらうことで、電話やメールだけではわからない詳細な見積もりを出してもらえます。また、作業内容や範囲について直接業者と認識を合わせることができ、当日の「言った・言わない」といったトラブル防止にもつながります。
さらに、訪問見積もりは、スタッフの対応や人柄、会社の雰囲気を直接確認できる貴重な機会です。複数の業者に訪問見積もりを依頼し、提示された見積書の内容やスタッフの対応を比較検討する「相見積もり」をおすすめします。
訪問見積もりには、どれくらいの時間がかかりますか?
部屋の広さや物量によりますが、一般的には30分から1時間程度が目安です。事前に整理したい物をまとめておくとスムーズに進みます。
見積書が丁寧でわかりやすい
見積書のわかりやすさは、業者の信頼性を判断する上で非常に重要です。後々の料金トラブルを防ぐためにも、以下の点が満たされているかを確認しましょう。
- 作業内容(仕分け、搬出など)が具体的に記載されている
- 作業費、人件費、車両費、廃棄物処理費などの項目別内訳が明確である
- 追加料金が発生する条件と金額が明記されている
- 廃棄物処理費の算出根拠(量や品目など)がわかる
- 消費税額がはっきりと記載されている
逆に、「作業一式」や「その他費用」といった曖昧な記載が多い見積書には注意が必要です。内容に不明な点があれば、契約前に業者に確認し、納得できる説明を求めましょう。
条件に合った業者を選ぶ
自分に合う業者を選ぶためには、段階的に条件を絞り込んでいく方法がおすすめです。
まず、整理対象となる家財の量や部屋の広さといった作業規模を具体的に把握しましょう。次に、その作業規模に対して、どれくらいの費用をかけられるか、予算の上限を設定します。
最後に、予算内で対応可能な業者の中から、不用品買取に強い、特殊清掃も依頼できるなど、自分の要望を満たす特色を持つ業者を比較検討し、絞り込んでいきます。
特に地域密着型の業者は、そのエリアの特性やルールに詳しく、小回りの利いた柔軟な対応が期待できる場合があります。
この手順で検討を進めることで、ミスマッチを防ぎ、条件に合った信頼できる業者を見つけやすくなります。
判断基準 | 自力向き | 業者向き |
---|---|---|
作業規模 | 物量が少なく、1~2部屋程度の整理 | 物量が多く、一軒家全体など広範囲の整理 |
時間的余裕 | 数週間~数カ月かけられる | 仕事で忙しく短期間で終わらせたい |
専門性要否 | 特殊清掃・重量物搬出などの技術が不要 | 専門知識/技術/資格が必要な作業が含まれる |
家財整理を進める際のポイント
家財整理を円滑に進めるには、事前準備、スケジュール管理、近隣配慮が重要です。ポイントを解説します。
自分で行うか業者に依頼するかを考える
家財整理を始める前に、全ての作業を自分で行うか、専門業者に依頼するかを決めましょう。どちらが良いかは、状況によって異なります。以下の点を参考に判断してください。
判断基準 | 自力向き | 業者向き |
---|---|---|
作業規模 | 物量が少なく、1~2部屋程度の整理 | 物量が多く、一軒家全体など広範囲の整理 |
時間的余裕 | 数週間~数カ月かけられる | 仕事で忙しく短期間で終わらせたい |
専門性要否 | 特殊清掃・重量物搬出などの技術が不要 | 専門知識/技術/資格が必要な作業が含まれる |
全ての作業をどちらか一方に任せるのではなく、例えば「仕分けは自分で行い、大変な不用品の搬出・処分だけ業者に依頼する」といった部分的な依頼も可能です。
「部分的な依頼」とは、具体的にどのような作業をお願いできるのですか?
例えば、大型家具の搬出と処分だけ、特定の部屋の片付けだけ、といった依頼が可能です。対応範囲は業者によって異なるため、事前に確認しましょう。
現実的なスケジュールを立てる
家財整理をスムーズに進めるためには、無理のない現実的なスケジュールを立てることが不可欠です。作業全体を大きく「準備期」「実行期」「確認期」の3段階に分けて計画を立てると良いでしょう。
例えば、準備期(1週目)では業者選定や必要な道具の準備、実行期(2~3週目)では実際の仕分け・梱包・搬出作業、確認期(4週目)では清掃や最終チェックといった具体的な工程表を作成するのがおすすめです。
また、予期せぬ遅延や問題発生に備えて、ある程度余裕のあるスケジュールを組みましょう。
近隣住民への配慮を行う
家財整理では、作業中の騒音や人の出入り、大型の不用品の搬出などで、近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性があります。トラブルを未然に防ぐためにも、以下のような配慮を心がけましょう。
- 作業は早朝や深夜を避け、一般的な活動時間帯(平日の日中など)に行う
- 大きな音や振動が出そうな作業は事前に告知し、共用部分の養生を行う
- 事前に両隣や階下の住民へ直接挨拶に伺うか、回覧板などで作業日時を知らせておく
マンションで作業する場合、管理人さんにも連絡すべきでしょうか?
はい、エレベーターの使用許可や共用部分の養生などが必要になる場合が多いです。事前に管理人さんや管理組合へ連絡・相談しておくことをおすすめします。
捨てるもの、残すものを予め考えておく
家財整理を効率良く進めるには、作業前に「捨てるもの」「残すもの」の基準を決めておくことが重要です。基準がないと判断に迷い、作業が滞ってしまいます。
仕分け基準として、以下の点を考慮すると良いでしょう。
- 感情価値:思い出や愛着があるか(写真、手紙など)
- 使用頻度:現在どのくらい使っているか、今後使う予定はあるか(衣類、雑貨など)
- 経済価値:まだ使えるか、売却できる価値があるか(家電、家具など)
すぐに判断できないものは、無理に捨てずに「一時保管ボックス」を活用しましょう。保管期限を決め、期限が過ぎても必要性を感じなければ処分する、というルールにすれば、後悔なく手放しやすくなります。
仕分ける基準を決めておく

家財整理をスムーズに進めるには、具体的な仕分けルールを決めておくことが効果的です。ルールがあれば迷う時間を減らし、作業に集中できます。以下にルールの例を挙げます。
- 1年以上使っていないものは処分の候補にする
- 同じものが複数ある場合は、状態の良いものだけを残す
- 壊れていたり、修理が必要だったりするものは処分する
- サイズが合わなくなった衣類や靴は手放す
- 収納スペースから溢れるものは、優先度の低いものから処分する
これらのルールを基本にしつつ、全てのものに厳密に適用する必要はありません。特に、家系図やアルバム、故人の形見など、感情的な価値が高い品は例外として、無理に処分せず大切に保管したり、家族と相談したりしましょう。
まとめ
家財整理を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、業者に依頼する場合は、「信頼性」「透明性」「専門性」を基準に慎重に選ぶことが大切です。
費用はかかりますが、専門業者に任せることで得られる、時間や安心感といった費用対効果も考慮しましょう。また、業者に依頼するしないに関わらず、事前の計画や仕分け基準の設定といった準備が、スムーズな整理には不可欠です。
本記事を参考に、ご自身に合った方法で家財整理の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

早稲田大学国際教養学部卒。その後、不用品回収や遺品整理に特化したメディア「不用品回収の窓口」の立ち上げに参画。400社を超える不用品回収業者の業務改善や集客改善に注力。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品や遺品整理に関する多様な記事の執筆・監修も担当。