汚部屋の片付けは時間と労力がかかり、どこから手を付ければ良いか分からなくなることも少なくありません。専門業者への依頼も選択肢ですが、費用がどの程度かかるのか、どの業者に頼めば安心なのか、不安を感じる方もいるでしょう。
そこで重要になるのが、事前に費用相場やサービス内容を把握し、信頼できる業者を見極めることです。適切な業者を選べば、負担を軽減しスムーズに片付けを進められます。
本記事では、汚部屋片付けの費用相場をゴミの量や間取り別に詳しく解説します。併せて、業者の基本サービスやオプション、優良な業者の選び方、費用を抑える方法、依頼の具体的な流れについても説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。

早稲田大学国際教養学部卒。その後、不用品回収や遺品整理に特化したメディア「不用品回収の窓口」の立ち上げに参画。400社を超える不用品回収業者の業務改善や集客改善に注力。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品や遺品整理に関する多様な記事の執筆・監修も担当。
このページの内容
片付け業者の種類

汚部屋の片付けを業者に依頼しようと思っても、どのような業者があるのか迷う方もいるでしょう。片付け業者は、それぞれ得意とする分野や提供しているサービスが異なります。
主な業者としては、ゴミ屋敷の清掃を専門とする「ゴミ屋敷清掃業者」や、故人の持ち物を整理する「遺品整理業者」、引越しに伴う整理などを行う「生前整理業者」が挙げられます。
また、不要になった家具や家電などの回収を中心に行う「不用品回収業者」も選択肢の一つです。この他にも、ハウスクリーニング業者や家事代行サービスが片付けに対応している場合もあります。
それぞれの業者の特徴を理解し、ご自身の部屋の状態や片付けたい内容に合わせて適切な業者を選ぶことが大切です。業者によって対応範囲や専門性が異なるため、依頼する前にサービス内容をよく確認しましょう。
いろいろな業者があって迷います。結局、一番安く済むのはどのタイプの業者なのでしょうか?
一概に料金だけで選ぶのは難しいですね。部屋の状態やゴミの種類に合わない業者だと、追加料金や作業不可となる可能性もあるため、サービス範囲の確認が重要です。
ゴミ屋敷清掃業者
ゴミ屋敷清掃業者とは、文字通りゴミ屋敷の状態になってしまった部屋や家全体の清掃を専門に行う業者です。大量のゴミや不用品の分別、回収、処分はもちろんのこと、一般的な清掃では対応が難しいような状況に特化したサービスを提供しています。
例えば、長年放置されたゴミによる酷い汚れや、それに伴う悪臭の除去、さらには害虫駆除なども専門的な知識や技術、専用の薬剤や機材を用いて行います。通常のハウスクリーニング業者とは異なり、ゴミの撤去を前提とした清掃作業が中心となる点が特徴です。
ゴミの量が膨大で自分では手が付けられない、衛生状態が悪く特殊な清掃が必要、といった場合に頼りになる存在と言えるでしょう。多くの業者では、不用品の買取に対応している場合もあり、費用負担を軽減できる可能性もあります。
生前整理業者・遺品整理業者
生前整理業者や遺品整理業者は、主に個人の持ち物を整理することを専門としています。
遺品整理業者は、故人が残した品物を遺族に代わって整理し、不要なものを適切に処分するのが主な役割です。一方、生前整理業者は、自身が元気なうちに身の回りの物を整理し、将来に備えるお手伝いをします。
これらの業者は、単に物を捨てるだけでなく、依頼者の意向を確認しながら必要な物と不要な物を丁寧に分別し、貴重品や思い出の品を探す作業も行います。そのため、ゴミだけでなく家財道具全般の整理が必要な汚部屋の片付けにも対応できる可能性が高いです。
特に、物が多くてどこから手を付ければ良いか分からない場合や、故人の家が片付けられずに汚部屋状態になってしまったケースなどで依頼を検討できるでしょう。ゴミ屋敷清掃業者とは異なり、物の価値や思い出を尊重しながら整理を進める点に特徴があります。
不用品回収業者
不用品回収業者は、その名の通り、家庭や事業所などから出る不要になった物品を回収・処分することを主な業務としています。
特に、自治体の粗大ゴミ収集では処分が難しい大型の家具や家電製品、引越しや大掃除に伴って一時的に大量に出る不用品の回収を得意としている場合が多いです。汚部屋の片付けにおいては、部屋を占領している家具や家電、その他の粗大ゴミの撤去を迅速に行ってほしい場合に有効な選択肢となります。
ただし、ゴミ屋敷清掃業者のように、特殊な清掃や悪臭除去、害虫駆除まで対応している業者は限られます。また、生ゴミなどの一般廃棄物の回収には別途許可が必要なため、全ての不用品回収業者が対応できるわけではありません。
買取サービスを提供している業者もあり、まだ使える品物があれば回収費用から相殺できる可能性もあります。
汚部屋片付け業者の基本サービス

汚部屋の片付けを業者に依頼すると、具体的にどのようなサービスを受けられるのでしょうか。基本的なサービス内容を紹介します。
部屋の清掃
汚部屋の片付けを業者に依頼した場合、多くはゴミや不用品を搬出した後の基本的な清掃作業が含まれます。
具体的には、床の掃き掃除や掃除機がけ、拭き掃除などが一般的です。また、キッチンやトイレ、洗面所、浴室といった水回りについても、簡易的な清掃を行う業者が多いでしょう。
ただし、長年の汚れが蓄積した換気扇の油汚れや、壁紙に染み付いたヤニ、頑固なカビの除去といった専門的なハウスクリーニングレベルの作業は、基本サービスには含まれず、別途オプション料金となることがほとんどです。
どこまでの清掃が基本料金内で行われるかは業者によって異なるため、事前に確認することが大切です。
ゴミ搬出後の基本清掃って、具体的にどの程度まで綺麗になりますか? 水回りのカビとかも取ってもらえますか?
基本清掃は掃き掃除や拭き掃除など簡易的なものが中心です。長年蓄積したカビや油汚れの除去は、専門的なハウスクリーニングとしてオプションになる場合がほとんどですね。
脱臭・除菌
汚部屋には、生ゴミの腐敗臭やカビ、ホコリなどが原因で、不快な臭いがこもりがちです。また、目に見えない細菌やウイルスが繁殖し、健康に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。
多くの汚部屋片付け業者では、これらの問題に対応するため、脱臭や除菌のサービスを提供しています。専用の薬剤を噴霧したり、オゾン脱臭機を使用したりして、臭いの元から分解・除去を図ります。同時に除菌作業を行うことで、衛生的な環境を取り戻すことが可能です。
ただし、これらの作業は基本的な清掃とは異なり、オプションサービスとして追加料金が必要になる場合が一般的です。
ゴミと不用品の回収
汚部屋片付け業者の最も基本的なサービスは、部屋に散乱したゴミや不要になった物品の回収です。依頼者の指示に従い、生活に必要な物や思い出の品などを除き、それ以外の物を部屋から運び出します。
多くの業者では、ペットボトル、雑誌、衣類、粗大ゴミなど、種類に関わらず回収に対応しています。分別作業も業者が行うことが一般的ですが、生ゴミや液体、危険物など、一部回収できない品目がある場合もあるため、依頼する際に確認しておくと良いでしょう。
回収されたゴミや不用品は、法律に従って適切に処理されるため、依頼者自身で処分する手間が省けます。
回収できない物品には、具体的にどんなものがありますか? ライターとかスプレー缶もダメですか?
危険物や医療廃棄物、液体、土などは回収できないことが多いです。ライターやスプレー缶も中身が残っていると危険物扱いになるため、事前に業者へ確認しましょう。
大きい不用品の買取
汚部屋の片付けを行う際、まだ使用できる価値のある大きな不用品、例えば比較的新しい家電製品やブランド家具などがある場合、一部の業者は買取サービスを提供しています。
古物商許可を持つ業者であれば、これらの品物を査定し、適正な価格で買い取ることが可能です。買取金額は、片付け作業全体の費用から差し引かれることが一般的で、結果的に依頼者の金銭的な負担を軽減できる可能性があります。
ただし、製造年が古いものや状態が著しく悪いものは買取対象外となる場合が多いです。全ての業者が買取に対応しているわけではないため、事前に確認しておくと良いでしょう。
まだ使える家電があるのですが、買い取ってもらえれば費用がかなり浮くと期待していいですか?
状態が良くても、期待ほどの高値が付くことは稀なのが実情です。製造後5年以内が一つの目安ですが、需要によって価格は大きく変動します。
汚部屋の片付け費用相場
汚部屋の片付け費用は、ゴミの量や間取りなどで異なります。ここでは、費用の目安となる相場を紹介します。
見積もり金額以外に、当日になって急に追加料金を請求されるようなことはありませんか?
可能性はゼロではありません。例えば、見積もり時よりゴミが大幅に増えていた場合や、申告外の作業が必要になった場合に追加料金が発生することがあります。
ゴミ・不用品の量による費用相場
汚部屋の片付け費用を大きく左右するのは、処分するゴミや不用品の量です。多くの業者では、運搬に使用するトラックの大きさや台数を目安に料金を設定しています。以下に、トラックの積載量に応じたおおよその費用相場を示します。
トラックの種類(積載量の目安) | 費用相場 |
---|---|
軽トラック | 3万円~8万円 |
1tトラック | 5万円~12万円 |
2tトラック | 15万円~30万円 |
4tトラック | 30万円~ |
ただし、上記の表はあくまで一般的な目安です。ゴミの種類(分別が必要なものが多いかなど)や、搬出経路(階段のみ、エレベーターの有無など)、作業に必要なスタッフの人数、作業時間によって費用は変動します。
特に、ゴミの分別に手間がかかる場合や、搬出が困難な状況では、相場よりも高くなる可能性があります。
間取りごとの費用相場

汚部屋の片付け費用は、部屋の間取りも目安の一つとなります。一般的に、間取りが広くなるほど、ゴミや不用品を置くスペースも増えるため、片付け費用も高くなる傾向があります。以下は、間取りごとのおおよその費用相場です。
間取り | 費用相場 |
---|---|
1R・1K | 5万円~15万円 |
1DK・1LDK | 8万円~25万円 |
2DK・2LDK | 15万円~40万円 |
3DK・3LDK | 20万円~50万円 |
4LDK以上 | 30万円~ |
この表はあくまで目安であり、実際の費用は部屋にあるゴミの量や種類、汚れの程度、作業に必要な時間や人数、搬出経路の状況などによって大きく変動します。例えば、同じ1Kでも、床一面がゴミで埋まっている場合と、一部にゴミが溜まっているだけの場合では費用が異なります。
オプションの費用相場
汚部屋の片付けでは、基本的なゴミ回収や清掃に加えて、追加のサービスが必要になることがあります。これらはオプションとして提供され、別途費用が発生するのが一般的です。以下に、主なオプションサービスとその費用相場を示します。
オプションサービス | 費用相場 |
---|---|
ハウスクリーニング(水回り等) | 1万円~15万円程度 |
特殊清掃(脱臭・除菌) | 3万円~30万円程度 |
害虫駆除 | 2万円~8万円程度 |
エアコンクリーニング | 1万円~3万円程度 |
時間外作業(深夜・早朝) | 割増料金(業者による) |
上記の金額はあくまで目安であり、汚れの程度、作業範囲、使用する薬剤や機材によって大きく変動することを押さえておきましょう。例えば、特殊清掃は臭いの強さや原因によって作業内容が変わり、費用も増減します。また、不用品買取ができなかった場合の処分費用や、遠方への出張費などが別途かかるケースもあります。
脱臭や除菌などのオプションは費用もかかりますが、本当に必要なのでしょうか?
臭いや衛生状態がご自身や周囲に影響を与えている場合は、根本的な解決のために検討する価値があります。特に賃貸物件の退去時には管理会社から求められることもありますよ。
汚部屋の片付けを業者に依頼するメリット
汚部屋の片付けを自力で行うのは、時間も労力もかかり、精神的な負担も大きいものです。専門業者に依頼することで、これらの負担を大幅に軽減できる点が最大のメリットと言えるでしょう。
業者は豊富な経験とノウハウを持っているため、大量のゴミや不用品であっても、迅速かつ効率的に片付けを進めてくれます。分別や搬出、処分といった面倒な作業も全て任せられるため、依頼者は他のことに時間を使うことができます。
また、ゴミ屋敷清掃業者などは、不用品の回収だけでなく、通常の清掃では落としきれない汚れの除去や、悪臭・害虫の問題にも専門的な技術で対応可能です。さらに、業者によっては不用品の買取サービスも行っており、費用を抑えられる可能性もあります。
近隣住民に知られずに作業を進めたいといった要望にも配慮してくれる場合が多く、精神的な安心感も得られるでしょう。
汚部屋はどのレベルなら依頼すべき?
どの程度の汚部屋であれば業者に依頼すべきか、明確な基準はありませんが、いくつかの判断目安があります。
まず、ゴミの量が自分の手には負えないと感じる場合です。例えば、床の大部分が見えないほど物が散乱している、ゴミが腰の高さ以上に積み上がっている、一人では運び出せない粗大ゴミが多数あるといった状況は、業者への依頼を検討するサインと言えるでしょう。
また、生ゴミの腐敗による強烈な悪臭が発生している、ゴキブリやハエなどの害虫が大量に発生しているなど、衛生状態が著しく悪化している場合も、専門的な清掃が必要となるため業者に任せるのが賢明です。健康への影響が出始めている、あるいはその心配がある場合も同様です。
さらに、片付けなければならないと分かっていても精神的に辛くて手が付けられない、仕事や育児で忙しく片付ける時間が全く取れないといった場合も、無理せず業者を頼ることを考えてみてください。最終的には、ご自身の状況や片付けに対する負担感を考慮して判断することが大切です。
業者に頼むのは少し恥ずかしい気もするのですが、どのタイミングで相談すべきでしょうか?
ご自身で精神的な負担を感じたり、健康への影響が心配になったりした時点で、気軽に相談して大丈夫ですよ。多くの業者はプライバシーに配慮して作業を行います。
汚部屋を放置するリスク

汚部屋をそのままにしておくと、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
まず、ホコリやカビ、害虫の発生により、アレルギーや喘息、感染症といった健康被害のリスクが高まります。精神的なストレスの原因にもなり得るでしょう。
また、物が散乱している状態は、転倒やつまずきによる怪我の原因となりますし、コンセント周りのホコリは火災の危険性を高めます。
さらに、生ゴミの腐敗などによる悪臭や害虫の発生は、近隣住民とのトラブルに発展する可能性も否定できません。賃貸物件の場合、退去時に高額な原状回復費用を請求されたり、持ち家の場合は資産価値が低下したりする恐れもあります。
優良な業者を見分けるポイント
汚部屋の片付けを依頼する際、信頼できる業者を選ぶことが重要です。ここでは、優良な業者を見分けるためのポイントを解説します。
一般廃棄物収集運搬業の許可番号がある
家庭から出るゴミ、特に生ゴミや可燃ゴミといった「一般廃棄物」を有料で収集・運搬するには、市町村から「一般廃棄物収集運搬業許可」を得ている必要があります。これは法律で定められており、この許可を持たない業者が一般廃棄物を回収することは違法です。
注意したいのは、不用品回収業者がよく持っている「産業廃棄物収集運搬業許可」や、買取を行うための「古物商許可」だけでは、家庭の一般廃棄物を有料で回収・処分できないという点です。
優良な業者であれば、多くの場合、ウェブサイトなどに許可番号を明記しています。また、許可の有無は自治体のウェブサイトで確認できる場合もありますし、見積もり時に許可証の提示を求めるのも確実な方法です。
無許可の業者に依頼してしまうと、不法投棄されたり、後から高額な追加料金を請求されたりするトラブルに巻き込まれるリスクがあります。必ず「一般廃棄物収集運搬業許可」の有無を確認しましょう。
見積もりの内容が明確である
優良な業者を見分ける上で、見積書の内容が明確であることは非常に重要なポイントです。
まず、口頭だけでなく、必ず書面で見積もりをもらいましょう。そして、その内容を詳細に確認することが大切です。「作業一式」といった曖昧な記載ではなく、どのような作業にどれくらいの費用がかかるのか、内訳が具体的に示されているかを確認してください。
例えば、作業員の人数と作業時間、車両費、ゴミや不用品の処分費、オプションサービス(ハウスクリーニング、脱臭・除菌など)の料金などが個別に記載されているのが望ましいです。
また、追加料金が発生する可能性のある条件、例えば、見積もり時よりゴミの量が大幅に増えた場合や、予期せぬ作業が必要になった場合の料金体系についても、事前に明記されているか確認しましょう。
不明な点や疑問点があれば、遠慮せずに質問し、納得できる説明を求めることが重要です。丁寧で分かりやすい見積書を提示してくれる業者は、料金体系がしっかりしており、信頼できる可能性が高いと言えます。
見積もりを取る際に、特に注意して確認すべき項目は何でしょうか?
作業内容の内訳、人員、時間、車両費、処分費が基本です。加えて、追加料金が発生する可能性がある条件が明記されているかは必ず確認してください。
実績・口コミがある
業者の信頼性を判断する上で、これまでの作業実績や利用者の口コミは重要な手がかりとなります。多くの実績を持つ業者は、それだけ多様な現場を経験しており、さまざまな状況に適切に対応できるノウハウを持っている可能性が高いと考えられます。
業者のウェブサイトに掲載されている「施工事例」や「ビフォーアフター写真」を確認し、どのような作業を行っているか、料金はどの程度かを見てみると良いでしょう。
また、実際にサービスを利用した人の感想である「口コミ」も非常に参考になります。業者のウェブサイトだけでなく、GoogleマップのレビューやSNS、比較サイトなどで第三者の評価を確認することをおすすめします。
ただし、口コミを参考にする際は注意が必要です。極端に良い評価や悪い評価ばかりが並んでいる場合は、情報の信憑性を慎重に見極める必要があります。良い点だけでなく、どのような点に不満があったのか具体的な内容が書かれているかどうかも確認し、複数の情報源から総合的に判断することが大切です。
ネットの口コミはたくさんありますが、どこまで信用していいのか分かりません。
口コミはあくまで参考程度にし、複数のサイトで確認するのがおすすめです。具体的な作業内容やスタッフの対応に触れている、なるべく新しい投稿を参考にしましょう。
サービス範囲が(生ゴミなどの一般ゴミを捨てる場合)
汚部屋の片付けを依頼する際には、業者がどの範囲のゴミまで対応してくれるかを確認することが重要です。特に、生ゴミや食品の残り、紙くずといった「一般廃棄物」が含まれる場合、注意が必要です。
前述の通り、一般廃棄物を有料で収集・運搬するには、市町村の「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要となります。しかし、不用品回収業者の中には、この許可を持たず、家具や家電などの粗大ゴミ(主に産業廃棄物や有価物として扱われるもの)の回収しか行えない業者も少なくありません。
もし許可のない業者に依頼した場合、生ゴミなどの一般廃棄物は回収してもらえないか、あるいは許可を持つ提携業者に別途依頼することになり、追加費用が発生する可能性があります。
そのため、見積もりを取る際には、回収してもらいたいゴミの種類を具体的に伝え、生ゴミなどの一般廃棄物も回収可能かどうか、そしてその業者が適切な許可を持っているかを必ず確認しましょう。
汚部屋の片付け費用を安くする方法
汚部屋の片付け費用、安くする方法はある?ここでは、費用を抑えるコツを紹介します。
できるだけ自分で片付ける
汚部屋の片付け費用を抑える最も直接的な方法は、業者に依頼する前に、自分でできる範囲の片付けを進めておくことです。
業者の費用は、ゴミの量や作業時間に応じて算出されることが多いため、事前にゴミを減らしておけば、それだけ費用を安くできる可能性があります。例えば、明らかに不要な雑誌やペットボトル、空き箱などを自治体のルールに従って分別・処分するだけでも、全体の物量を減らすことにつながるでしょう。
また、貴重品や残しておきたい物をあらかじめ別の場所に移動させておけば、業者の作業中に誤って処分されるのを防ぐとともに、業者による探索や分別の手間を省くことができます。
ただし、無理は禁物です。重い物や危険な物の処理、大量のゴミの分別は負担が大きいため、できる範囲に留めましょう。
相見積もりを取る
汚部屋の片付け費用を適正な価格に抑えるためには、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」が非常に有効です。
1社だけの見積もりでは、提示された金額が高いのか安いのか判断が難しく、気づかないうちに損をしてしまう可能性があります。最低でも3社程度の業者に見積もりを依頼し、料金やサービス内容を比較検討すると良いでしょう。
相見積もりを取ることで、おおよその費用相場を把握できるだけでなく、各社の対応の違いや見積書の内容の明確さなども比較できます。極端に安い見積もりや、逆に不自然に高額な見積もりを提示する業者を避ける判断材料としても有効です。
多くの業者は無料で見積もりに対応していますが、出張費などがかかる場合もあるため、事前に確認しましょう。
不用品回収と清掃を同一業者に依頼する
汚部屋の片付けでは、不用品の回収だけでなく、部屋の清掃も必要になるケースが多いです。
これらの作業を別々の業者に依頼すると、それぞれに基本料金や出張費などがかかり、合計費用が割高になる可能性があります。また、業者間の連携や日程調整の手間も発生しがちです。
一方で、不用品回収と清掃の両方に対応している業者にまとめて依頼すれば、セット割引が適用されたり、諸経費が一本化されたりして、費用を抑えられることが期待できます。作業の連携もスムーズに進みやすく、依頼者自身の手間も軽減されるでしょう。
ただし、清掃まで依頼する場合は、その業者がどのレベルの清掃(簡易清掃か専門的なハウスクリーニングか)まで対応可能か、事前にサービス内容を確認することが大切です。
業者にはできるだけ早めに相談する
汚部屋の状態が悪化する前に、できるだけ早めに業者へ相談することも、結果的に費用を抑えることにつながる可能性があります。
問題を放置してしまうと、ゴミの量は増え続け、汚れも蓄積し、片付け作業がより困難になります。作業時間や必要な人員が増えれば、当然ながら費用は高くなる傾向があるでしょう。
さらに、時間が経つにつれて悪臭や害虫が発生するリスクも高まり、そうなると特殊清掃や駆除といった追加のオプション費用が必要になることも考えられます。
精神的な負担も、放置するほど大きくなっていくものです。手が付けられないと感じたら、できるだけ早い段階で専門業者に相談し、見積もりを取ることをおすすめします。問題が深刻化する前に対処することで、費用面だけでなく、精神的な負担も軽減できるはずです。
汚部屋の片付けを依頼する流れ

汚部屋の片付けを業者に依頼する際の一般的な流れを、ステップごとに見ていきましょう。
- 問い合わせ・相談
- 現地調査・見積もり
- 契約・日程調整
- 片付け作業当日
- 作業完了確認・支払い
まず初めに、電話や業者のウェブサイトの問い合わせフォームなどを利用して、業者に連絡を取ります。部屋のおおよその状況や、どのようなサービスを希望するのかを伝えましょう。
次に、多くの場合、業者の担当者が実際に部屋を訪問し、ゴミの量や種類、部屋の状態、搬出経路などを確認します。その確認結果に基づき、作業内容と費用を明記した見積書が提示されるのが一般的な流れです。
提示された見積もり内容、サービス内容、料金に納得できれば、正式に契約を結びます。同時に、作業を行う日時を業者と調整して決定しましょう。
契約した日時に業者のスタッフが訪問し、契約内容に基づいてゴミの分別、梱包、搬出、必要な清掃などの作業を進めます。
全ての作業が完了したら、依頼者は部屋の状態を確認しましょう。問題がなければ、契約に基づいた料金を支払います。支払い方法(現金、振込、クレジットカードなど)は事前に確認しておくと安心です。
作業当日は、ずっと家にいて立ち会わなければなりませんか?
基本的には、作業開始時と完了時のご確認をお願いしています。ただ、作業中の外出については柔軟に対応する業者が多いので、事前に相談してみてください。
汚部屋の片付け費用は業者選びと早めの相談が鍵
汚部屋の片付けを業者に依頼する場合、費用はゴミの量や部屋の間取り、必要なオプションサービスによって大きく変動します。費用相場を把握した上で、複数の業者から相見積もりを取り、サービス内容や料金を比較検討することが重要です。
また、信頼できる業者を選ぶためには、一般廃棄物収集運搬業の許可の有無、見積もりの明確さ、実績や口コミなどを確認しましょう。自分でできる範囲の片付けを進めたり、早めに業者に相談したりすることで、費用を抑えることも可能です。
この記事を参考に、ご自身の状況に合った適切な業者を選び、スムーズな汚部屋の片付けを実現してください。

早稲田大学国際教養学部卒。その後、不用品回収や遺品整理に特化したメディア「不用品回収の窓口」の立ち上げに参画。400社を超える不用品回収業者の業務改善や集客改善に注力。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品や遺品整理に関する多様な記事の執筆・監修も担当。