ゴミや不用品であふれた汚部屋からの引っ越しは、一般的な引っ越しよりもはるかに困難です。何から手をつければ良いか分からず、費用がどれくらいかかるのか、そもそも引っ越し業者に依頼できるのかといった不安を抱える方も少なくありません。

しかし、正しい手順を理解し、計画的に準備を進めることで、スムーズに新生活をスタートさせることは可能です。費用面での負担を軽減するための知識も重要になります。

本記事では、汚部屋からの引っ越しを成功させるための具体的な手順、清掃や不用品回収を業者に依頼するメリット・デメリット、気になる費用相場、そして引っ越し費用を少しでも安く抑えるためのコツについて詳しく解説します。この記事を読むことで、安心して引っ越し準備を進めることができるでしょう。

汚部屋のまま引っ越し業者に依頼できるのか？

結論からいうと、多くの一般的な引っ越し業者では、汚部屋の状態のまま引っ越し作業を請け負うのは難しいことが多いようです。ゴミと家財の区別がつかない、衛生面での懸念などが理由として挙げられます。

対応可能な業者もありますが、事前に部屋の状態を正直に伝え、相談することが不可欠と考えられます。

まずは見積もり時に確認してみましょう。

引っ越しの見積もりを受けてもらうには？

引っ越し業者に見積もりを依頼する際は、まず汚部屋の状態であることを正直に伝えることが非常に重要です。

隠したり、実際より軽微に見せようとしたりすると、当日に追加料金が発生したり、最悪の場合は作業を断られたりする原因となりかねません。電話やオンラインフォームで問い合わせる際に、ゴミの量や種類、部屋の状況などを具体的に説明しましょう。

また、見積もり担当者が訪問する場合には、最低限、玄関から各部屋への通路を確保し、貴重品や重要書類は事前にまとめておくといった配慮が求められます。正直な情報提供は、業者が適切な人員やトラック、資材を準備し、より正確な見積もりを出すために不可欠です。

場合によっては、片付けや不用品処分を専門とする業者への相談も視野に入れると良いでしょう。

汚部屋・ゴミ屋敷の引っ越し手順

汚部屋からの引っ越しには、特別な手順が必要です。ここでは、具体的な流れを順に解説していきます。

片付ける

汚部屋からの引っ越しは、まず部屋を片付けることから始まります。どこから手をつけて良いか分からない場合でも、焦る必要はありません。

まずは玄関周りや部屋の一角など、狭いエリアを決めて、そこから着手するのがコツです。最初にゴミの搬出経路となる通路を確保すると、その後の作業がスムーズに進みます。

明らかなゴミや不要品から手放していくことが重要ですが、判断に迷う場合は「1年以上使っていないか」などを基準にするのも良いでしょう。

無理に一日で終わらせようとせず、数日、あるいは数週間かける計画で、少しずつでも着実に進めることが大切です。ゴミの分別も必要になるため、自治体のルールを確認しながら進めましょう。

精神的に負担が大きいと感じる場合は、無理せず専門業者の利用を検討するのも一つの方法です。

不用品を処分する

片付けによって出た大量の不用品は、適切な方法で処分する必要があります。

主な処分方法としては、自治体のルールに従ってゴミとして出す、不用品回収業者に依頼する、リサイクルショップやフリマアプリなどで売却するといった選択肢が考えられます。

汚部屋の場合、不用品の量が多かったり、大型の家具や家電が含まれていたりすることも少なくありません。自治体の回収は分別や搬出の手間がかかる一方、費用を抑えやすいという特徴があります。

不用品回収業者に依頼すると費用はかかりますが、分別や搬出の手間なく、一度にまとめて処分できる場合が多いです。まだ使える品物が多い場合は、売却によって処分費用を相殺できる可能性もあります。

それぞれの方法のメリット・デメリットを考慮し、不用品の種類や量、かけられる時間や費用に応じて最適な方法を選びましょう。

引っ越し業者へ見積もりを依頼する

部屋の片付けと不用品処分に目処がついたら、引っ越し業者へ見積もりを依頼しましょう。

その際、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行うことが、費用を比較検討し、適正な価格で依頼するための重要なコツです。

見積もり時には、運搬する荷物の量をできるだけ正確に伝える必要があります。特に、以前汚部屋だった場合は、その状況や、どの程度片付けが進んでいるかを伝えておくことで、当日のトラブルを防げます。

業者によっては汚部屋からの引っ越し実績が豊富な場合もありますので、確認すると良いでしょう。希望日が決まっている場合は、早めに業者を決定することが推奨されます。

引っ越し作業を行う

引っ越し当日は、事前に引っ越し業者と打ち合わせした内容に基づき、作業を進めてもらうことになります。作業員がスムーズに荷物を搬出できるよう、通路は必ず確保しておきましょう。

新居に運ぶ荷物と、旧居に残すもの（大家さんへ返却するものなど）が混在しないよう、事前に明確に分けておくことも重要です。

作業中は基本的に立ち会いが必要ですが、どこにどの荷物を運ぶかなど、指示を求められる場面もあります。貴重品は必ず自分で管理し、作業の妨げにならない場所に保管しておきましょう。

引っ越し作業は大きな音が出やすいので、近隣住民への配慮も忘れないようにしたいものです。

汚部屋の清掃を業者に任せるメリット

自分で片付けるのが難しい汚部屋の清掃は、専門業者に依頼するという選択肢があります。プロに任せることで、自力で行うよりも多くの利点が得られる場合があります。

短時間で終わる

専門業者に汚部屋の清掃を依頼する大きなメリットの一つは、作業が短時間で完了することです。

経験豊富なスタッフが複数人で対応し、専用の機材や効率的な手順を用いて作業を進めるため、自力で行う場合と比較して圧倒的に早く片付きます。

ゴミの分別、搬出、清掃といった工程を同時並行で進められる点も、時間短縮につながる要因です。

部屋の広さやゴミの量にもよりますが、多くのケースで1日から数日程度で作業が完了するといわれています。引っ越し日が迫っているなど、時間的な制約がある場合には特に有効な選択肢となるでしょう。

自分で片付けようとすると数週間から数ヶ月かかる可能性もあるため、プロに任せることで時間的な負担を大幅に軽減できます。

脱臭作業も行ってくれる

汚部屋には、ゴミや汚れが原因で強い臭いがこもっていることが少なくありません。

専門の清掃業者に依頼するメリットとして、このような不快な臭いに対する脱臭作業も実施してくれる点が挙げられます。

ゴミの撤去や表面的な清掃だけでは取り除けない、壁や床、家具などに染み付いた臭いに対して、業者によっては専用の薬剤やオゾン脱臭機などを使用し、根本的な解決を図ってくれる場合があります。

特に、ペットの排泄物や生ゴミ、カビなどが原因のしつこい臭いには、プロの技術が効果を発揮することが期待できます。

引っ越し前に徹底的な脱臭を行うことで、旧居の原状回復義務を果たしやすくなり、新居への臭いの持ち込みを防ぐことにもつながります。

不用品回収・買取も行ってくれるところもある

汚部屋の清掃を専門業者に依頼する場合、不用品の回収や、価値のある品物の買取サービスを併せて提供していることがあります。

清掃と不用品処分を別々の業者に依頼する手間が省けるため、スムーズに部屋を片付けられるのが大きなメリットです。

家具や家電、ブランド品、骨董品などでまだ使用できるものや価値のあるものは、買い取ってもらえる可能性があり、その場合は清掃費用や回収費用から買取金額が相殺され、総額を抑えられることも期待できます。

ただし、全ての業者が買取に対応しているわけではなく、買取可能な品物の種類や状態にも条件があるため、事前に確認が必要です。見積もり時に、不用品の回収や買取についても相談してみると良いでしょう。

引っ越し作業まで行ってくれるところもある

一部の汚部屋清掃業者の中には、清掃作業だけでなく、引っ越し作業まで一貫して請け負ってくれるところも存在します。

これは、清掃、不用品処分、荷造り、運搬、新居への搬入といった一連の作業を、一つの業者にまとめて依頼できるサービスです。複数の業者とそれぞれ契約・調整を行う手間が省け、スケジュールの管理がしやすくなる点が大きなメリットといえるでしょう。

特に、退去日が迫っている場合や、遠方への引っ越しなど、作業の連携が重要なケースでは非常に便利です。

ただし、引っ越し専門業者と比較した場合の料金体系やサービス内容、対応エリアなどは業者によって異なるため、見積もり時に詳細を確認し、自身の状況に合わせて検討することが重要です。

汚部屋の清掃を自分で行うデメリット

汚部屋の清掃を専門業者に頼らず、自分自身で行う選択には、いくつかのデメリットも考えられます。時間や労力だけでなく、予期せぬ問題に直面する可能性もあります。

引っ越し費用が高くなる

汚部屋を自力で片付けようとした結果、かえって引っ越しに関連する総費用が高くなるケースがあります。

例えば、大量のゴミを自分で処分しようとしても、自治体の粗大ゴミ収集には費用がかかりますし、分別や搬出に手間取るうちに時間が経過し、引っ越し業者への依頼が遅れて割高な料金になる可能性があります。

また、完全に片付けきれずに結局清掃業者に依頼することになったり、荷造りが不十分で引っ越し当日の作業時間が増え、追加料金が発生したりすることも考えられます。

さらに、害虫が発生している場合は駆除費用、汚れがひどい場合は特別なハウスクリーニング費用などが別途必要になることもあり、トータルで見ると費用がかさんでしまうことがあるのです。

時間がかかる

汚部屋の清掃を自分で行う場合、想像以上に時間がかかることを覚悟しなければなりません。ゴミの分別だけでも複雑で手間がかかり、不用品を運び出す作業も一人では困難な場合があります。

長年にわたって溜め込まれたものは、単なるゴミだけでなく、必要なものと不要なものが混在していることも多く、その仕分け作業にも時間が取られます。

仕事や他の用事がある中で片付けを進めるのは容易ではなく、途中で挫折してしまう可能性も考えられます。引っ越し日が決まっている場合は、間に合わせるために焦ってしまい、精神的な負担も大きくなるでしょう。

専門業者であれば数日で終わる作業が、自力では数週間、場合によっては数ヶ月かかってしまうことも珍しくありません。

引っ越し業者に断られる場合がある

汚部屋の状態がひどい場合、引っ越し業者から作業を断られてしまう可能性があります。

主な理由としては、ゴミと家財の区別がつかず、どの荷物を運搬すれば良いか判断できないこと、害虫や悪臭など衛生面の問題で作業員の安全が確保できないこと、想定される作業時間や人員を大幅に超えてしまい対応できないことなどが挙げられます。

また、見積もり時に部屋の状態を正直に伝えず、当日になって状況が発覚した場合も、契約違反とみなされ作業を拒否されることがあります。

引っ越しをスムーズに進めるためには、事前にできる限り片付けを進めるか、汚部屋の清掃から対応可能な専門業者に相談することが重要です。

清掃業者・不用品回収業者の費用相場

汚部屋の清掃や不用品回収を業者に依頼する場合の費用は、部屋の間取り、ゴミや不用品の量、汚れの程度、作業員の人数など、様々な要因で変動します。

そのため、一概に正確な金額を示すことは難しいですが、一般的な費用相場を知っておくことは業者選びの参考になります。

以下に作業内容ごとの費用の目安を示します。

• 清掃のみ / ワンルーム・1K / 3万円 ～ 15万円程度
• 清掃のみ / 2DK・3LDKなど / 10万円 ～ 50万円以上
• 不用品回収 / 軽トラック1台分 / 2万円 ～ 5万円程度
• 不用品回収 / 2トントラック1台分 / 6万円 ～ 8万円以上
• 清掃＋回収 / ワンルーム・1K / 5万円 ～ 20万円程度
• 清掃＋回収 / 2DK・3LDKなど / 15万円 ～ 70万円以上

※上記はあくまで目安であり、状況によって大きく異なります。

特殊清掃（消臭・消毒など）や害虫駆除、ハウスクリーニングなどを追加で依頼する場合は、費用が大幅に上がります。正確な費用を知るためには、必ず複数の業者に現地見積もりを依頼し、作業内容と料金を詳細に比較検討することが不可欠です。

汚部屋の引っ越し費用を安く抑えるコツ

汚部屋からの引っ越しは費用がかさみがちですが、いくつかの工夫で負担を軽減できる可能性があります。ここでは、費用を安く抑えるための具体的なコツをご紹介します。

できるだけ自分で片付ける

汚部屋の引っ越し費用を抑える最も基本的な方法は、できる範囲で自分で片付けを進めることです。業者に依頼する作業範囲が狭まるほど、当然ながら費用は安くなります。

特に、ゴミの分別や搬出を自分で行えば、清掃業者や不用品回収業者に支払う人件費や作業費を削減できます。自治体のゴミ収集を利用すれば、処分費用も比較的安く済むことが多いでしょう。

ただし、全てを自分で行う必要はありません。時間的・体力的に難しい部分や、専門的な清掃が必要な箇所だけを業者に依頼するなど、作業を切り分けることも有効な手段です。

どこまで自分で対応し、どこからプロに任せるかを検討することが、費用を抑えつつ効率的に引っ越しを進めるコツといえます。

相見積もりを取る

清掃業者や不用品回収業者、引っ越し業者を選ぶ際には、必ず複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行いましょう。最低でも3社程度から見積もりを取り寄せることで、料金だけでなく、サービス内容や作業範囲、スタッフの対応などを比較検討できます。

特に汚部屋の場合、状況によって作業内容や料金が大きく異なるため、現地訪問による正確な見積もりが不可欠です。見積もり書を受け取ったら、基本料金に含まれる作業内容や、追加料金が発生するケースなどを細かく確認することが重要になります。

単に最も安い業者を選ぶのではなく、提示された料金が作業内容に見合っているか、信頼できる対応をしてくれるかなども含めて総合的に判断しましょう。

不用品回収と清掃を同一業者に依頼する

汚部屋からの引っ越しでは、多くの場合、不用品回収と部屋の清掃の両方が必要になります。これらを別々の専門業者に依頼することも可能ですが、費用を抑えるためには、両方のサービスを提供している業者にまとめて依頼することを検討してみましょう。

多くの業者では、セットで依頼することで割引が適用されたり、パック料金が設定されていたりする場合があります。また、依頼する窓口が一つになるため、業者とのやり取りや日程調整の手間が省け、スムーズに作業を進めやすくなるというメリットもあります。

見積もりを取る際には、不用品回収と清掃をセットで依頼した場合の料金を確認し、別々に依頼した場合と比較してみることが、費用削減につながる有効な手段です。

業者にはできるだけ早めに相談する

汚部屋の片付けや引っ越しを業者に依頼する場合、できるだけ早めに相談を開始することが費用を抑え、スムーズに進めるための重要なコツです。

引っ越しシーズンなどの繁忙期は、優良な業者ほど予約が埋まりやすいため、早期に連絡することで希望の日程を押さえやすくなります。また、時間に余裕があれば、複数の業者からじっくりと相見積もりを取り、サービス内容や料金を比較検討する時間も確保できます。

業者によっては、早期予約割引などを設けている場合もあり、費用削減につながる可能性もあります。直前の依頼になると、対応できる業者が限られたり、割高な料金設定になったりすることも考えられます。

計画的に進めるためにも、まずは早めに相談してみることをお勧めします。

まとめ

汚部屋からの引っ越しは、まず片付けと不用品の処分から始める必要があります。引っ越し業者への依頼は、部屋がある程度片付いてからが基本ですが、清掃から一貫して対応可能な専門業者に頼るのも有効な手段です。

業者に依頼すると時間や手間を大幅に削減できるメリットがありますが、費用がかかります。対して自力での片付けは費用を抑えられますが、時間と労力がかかり、引っ越し業者に断られる可能性も考慮すべき点です。

費用を抑えるには、できる範囲で自分で作業を進め、複数業者から相見積もりを取り、早めに相談することが重要です。

引っ越しシーズンなどの繁忙期は、優良な業者ほど予約が埋まりやすいため、早期に連絡することで希望の日程を押さえやすくなります。また、時間に余裕があれば、複数の業者からじっくりと相見積もりを取り、サービス内容や料金を比較検討する時間も確保できます。

業者によっては、早期予約割引などを設けている場合もあり、費用削減につながる可能性もあります。直前の依頼になると、対応できる業者が限られたり、割高な料金設定になったりすることも考えられます。

計画的に進めるためにも、まずは早めに相談してみることをお勧めします。