早稲田大学国際教養学部卒。その後、不用品回収や遺品整理に特化したメディア「不用品回収の窓口」の立ち上げに参画。400社を超える不用品回収業者の業務改善や集客改善に注力。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品や遺品整理に関する多様な記事の執筆・監修も担当。
このページの内容
位牌を処分するタイミングとは?
位牌の処分を専門業者に依頼する方は多いのでしょうか?
位牌が古びてしまったときには新しいものを作り、古いものを処分することがあります。また、位牌が不要になったタイミングで処分に至るケースもあるものです
位牌は故人の魂が宿るものとされているため、基本的には一度作ったらずっと使い続けるものです。とはいえ、以下のような理由で位牌を処分する方もいます。
1. 位牌が古くなり、新しく作り変えたいとき
位牌は経年劣化によって傷んだり汚れたりしてしまうものです。古い位牌をずっと置いておくのが忍びないという場合には、新しい位牌を作ってもらいましょう。
このとき、古い位牌はきちんと供養してもらう必要があります。
2. 四十九日法要を終えたとき
葬儀の際に白木の簡易位牌を作って使用するケースは少なくありません。今後長く使っていく本位牌と呼ばれる位牌は、四十九日法要までに用意してもらえます。
本位牌が準備できたら、最初に使っていた簡易位牌は供養をおこなった上で処分することになります。
3. 夫婦連名の位牌に作り変えたいとき
ご夫婦どちらかが先に亡くなったときには、その方の戒名や俗名などが記載された位牌を作ります。その後、もうお一方が亡くなって位牌をご夫婦の連名に切り替えるときには、もとの位牌を処分する必要があります。
4. 引っ越しなどで仏壇を処分したいとき
最近はアパートやマンションなどの住居が洋風化していることから、自宅に仏壇を置かない方が増えています。引っ越しを機に仏壇を処分するときには、位牌も一緒に処分することになります。
また、お墓や仏壇の跡継ぎがいなくなったタイミングで位牌の処分がおこなわれるケースもあります。
5. 弔い上げで位牌を合祀するとき
三回忌や七回忌、十三回忌など、決められた年数ごとに故人を弔っていくことを回忌法要と呼びます。回忌法要は三十三回忌や五十回忌まで続いていきますが、区切りのいいタイミングで回忌法要をやめることもあります。
最後となる回忌法要は弔い上げと呼ばれます。弔い上げをするときには位牌を処分し、故人をご先祖様と合祀することになります。
位牌を処分する方の事情はさまざまなんですね
宗旨宗派によって、また各ご家庭の考え方によって、故人の弔い方は変わってくるものです。なんらかの事情で位牌を処分したいときには、信頼できるお寺や専門業者を選んで相談してみましょう
位牌を正しく処分する方法7選
位牌はどのような方法で処分したらいいですか?
位牌には霊が宿っているため、そのまま処分するのはおすすめできません。お寺や専門業者などに相談し、正しい方法で処分してもらいましょう
位牌を用意するときには開眼供養という儀式をおこなうのが一般的です。開眼供養をすることで、位牌には故人の魂が宿ります。
魂が宿っている位牌をそのまま捨てることは、故人やご先祖の魂を捨てるのと同じことです。位牌を処分することになったら、閉眼供養などの儀式をしてもらうとよいでしょう。
位牌を処分する方法には大きく以下の7つの方法が考えられます。
- 閉眼供養(魂抜き)の儀式をおこなう
- お焚き上げの儀式をおこなう
- 永代供養に切り替える形で位牌を処分する
- 仏壇仏具店に相談して位牌を処分する
- 葬儀社に相談して位牌を処分する
- 自治体のゴミ回収で位牌を処分する方もいる
- 供養の知識がある専門業者に相談する
ここからは、位牌の正しい処分方法をご説明いたします。
1. 閉眼供養(魂抜き)の儀式をおこなう
位牌を安置するときに開眼供養をした場合には、閉眼供養をしてから処分しましょう。
開眼供養はもともと、仏像の目を開いて魂を入れるという儀式でした。単なる木や石でできた像も、開眼供養をすることによって命を吹き込まれ、霊験のある像になるのです。
仏教では仏像を作るときだけでなく、位牌を安置するときにも開眼供養をおこないます。そして、開眼供養をした場合には、あとあと必ず閉眼供養をしなければなりません。
閉眼供養は魂抜き、またはお性抜きとも呼ばれます。宗旨宗派によって供養の方法は異なりますが、位牌に宿っている魂を抜くという考え方は共通しています。
閉眼供養をおこなうことで故人の魂は位牌を離れ、天界や黄泉の世界に戻っていきます。
閉眼供養をしなければ、位牌には故人や先祖の霊が入ったままになってしまいます。位牌の処分時には必ず儀式をしてもらいましょう。
2. お焚き上げの儀式をおこなう
お焚き上げとは、炎を使った儀式をおこなうことで故人の魂を供養するという方法です。
閉眼供養を済ませた位牌は、お寺にお願いしてお焚き上げをしてもらいましょう。
3. 永代供養に切り替える形で位牌を処分する
自宅に仏壇を置かずお寺や霊園に位牌を預けることを永代供養と呼びます。
近年では、高齢化や核家族化が進み、お墓の維持管理が難しいという方が増えてきました。また、お墓や仏壇を継承していく家族がいないと悩む方もいるものです。
お墓や仏壇を持たず、お寺の納骨堂や永代供養墓、樹木葬墓地などを利用するという場合には、位牌をお寺や霊園で管理してもらうことになります。
状況によっては、ご遺骨のみを安置してもらい、位牌は処分することもあります。この場合には、お寺で閉眼供養などの儀式をしてもらうとよいでしょう。
4. 仏壇仏具店に相談して位牌を処分する
多くの仏壇仏具店では、新しい位牌を作るタイミングで古い位牌の引き取り処分をおこなっています。仏壇や仏具を購入したお店で位牌のことを細かく相談できれば安心です。
とはいえ、仏壇仏具店では魂抜きなどの儀式はできません。魂抜きが必要な場合は、事前にお寺で儀式をしてもらうとよいでしょう。
5. 葬儀社に相談して位牌を処分する
葬儀を担当してくれた葬儀社が位牌の引き取りをしてくれることもあります。
特に、四十九日法要までは葬儀社になにかとお世話になるものです。今後使っていく本位牌が完成したときには、葬儀のときに使った白木の簡易位牌をどのように処分したらいいか、詳しく相談してみましょう。
6. 自治体のゴミ回収で位牌を処分する方もいる
閉眼供養をした位牌を燃えるゴミとして処分するケースもあります。
位牌をゴミに出すのはためらわれるものですが、閉眼供養をした位牌は故人が生前に着ていた洋服や使っていた家具と同じようなものなので、一般のゴミと同じように処分しても特に問題がないという考え方もあるのです。
ただし、自治体によっては位牌の処分ができないこともあるので注意しましょう。位牌をゴミとして回収してもらうときには、事前に自治体に確認をとっておくのが安心です。
7. 供養の知識がある専門業者に相談する
馴染みのお寺や菩提寺がある方や檀家になっている方は、位牌の処分方法をお寺に相談するのが一般的です。
とはいえ、お寺との付き合いがない方もいるものです。この場合には、供養や不用品処分に詳しい専門の業者に相談するのがおすすめです。
不用品回収業者や遺品整理業者は家具家電だけでなく、ときには仏壇や仏具などを回収して処分することもあります。このとき、専門のスタッフが物品の供養を担当することがあるのです。
自宅の仏壇を処分するときや遺品整理が必要なときには、供養に関する豊富な知識をもつ不用品回収業者や遺品整理業者を選び、相談してみましょう。
位牌や仏壇の供養は、不用品回収業者や遺品整理業者にお願いすることもできるんですね
はい。とはいえ、仏壇仏具や遺品の処分に関する十分な知識を持ち合わせていない不用品回収業者もあるものです。位牌の処分を検討しているのなら、供養や遺品整理に詳しい業者を選んで相談してみてください
位牌の処分にかかる費用の目安
位牌を処分するにあたって、費用面が少し気になります
位牌の処分にあたっては、数千円から数万円程度の費用が必要です。特に、お寺にお布施を渡す場合の相場はわかりにくいので注意が必要です。
1. お寺で閉眼供養やお焚き上げをしてもらう場合の費用相場
閉眼供養をしてもらうときには、お寺にお布施を渡す必要があります。お布施の相場は1~10万円程度といわれていますが、明確な金額は決まっていません。
お布施の額に悩む場合には、お寺に直接聞いてみるとよいでしょう。また、インターネットで相場感覚をチェックするのもおすすめの方法です。
なお、閉眼供養のあとにはお焚き上げをしてもらうのが一般的ですが、お焚き上げにかかる費用はお布施に含まれているので、別に用意する必要はありません。
2. 仏壇仏具店や葬儀社に引き取ってもらう場合の費用相場
仏壇仏具店や葬儀社に相談して位牌の処分をおこなうこともあります。これまで仏壇仏具の購入や葬儀法要などで深いお付き合いのある仏壇仏具店や葬儀社であれば、位牌を無料で引き取ってくれることもあるものです。
引き取り料金がかかる場合には、数千円から1万円程度になることがほとんどです。
3. 永代供養に切り替える場合の費用相場
永代供養に切り替える場合には、位牌の処分だけをお願いするということはありません。永代供養料に位牌の処分料が含まれていると考え、お任せするとよいでしょう。
4. 不用品回収業者や遺品整理業者に依頼する場合の費用相場
不用品回収業者や遺品整理業者への依頼料金はまちまちですが、5,000~2万円程度で処分してくれるケースがほとんどです。
こういった業者は位牌だけでなく、不要になった仏壇や仏具、故人の遺品などもまとめて引き取ってくれます。また、終活を考えている方は、生前整理のために不用品回収業者や遺品整理業者を頼るのもおすすめです。
ほとんどの方法でお金がかかりますね
位牌を処分するときの費用は方法によって大きく異なるものです。信頼できるお寺や専門業者は、かかる費用をあいまいにせずはっきりと教えてくれるものです。費用面が不安なときには、前もって料金について尋ねてみましょう
位牌を処分する際に注意すること
位牌を処分するときにはどのようなことに気をつけたらいいですか?
周囲に相談せず位牌を処分すると思わぬトラブルにつながることがあるのでお気をつけください。また、宗派によっては位牌の処分ができないこともあります。
1. 位牌を処分する前に家族や親族に相談する
家族や親族に相談せず、勝手に位牌を処分するのは避けたいものです。
古い仏壇に放置されっぱなしの位牌や遺品整理のタイミングで見つかった位牌は、不要なもののように思えることもあるでしょう。しかし、もしかするとその位牌は家族や親族にとってかけがえのないものかもしれません。
相談せず位牌を勝手に処分したことが原因で家族間や親族間で大きなトラブルが起きてしまうケースもあります。
位牌を処分するときには家族や親族に連絡し、しっかりと説明や相談をして納得してもらいましょう。
2. 浄土真宗のお寺では位牌を処分してもらえない
仏教の多くの宗派では位牌に故人や先祖の魂が宿ると考えています。その一方、浄土真宗には魂が物に宿るという考え方はありません。
とはいえ、宗派が浄土真宗であっても、手を合わせる対象として仏壇に位牌を置くことは可能です。こうした方が位牌を処分するときには、浄土真宗の寺院では位牌を供養してもらえないことがあるので注意しましょう。
浄土真宗の寺院で位牌の供養を断られた場合にはほかのお寺に依頼するか、仏壇仏具店などで相談するのがよいでしょう。また、不用品回収業者や遺品整理業者に位牌の供養をお願いするという方法もあります。
浄土真宗の考え方が違うとは知りませんでした
宗旨宗派によって仏壇仏具や遺品に対する考え方は異なるものです。あやふやなまま位牌を処分するとあとあとトラブルが起きることもあるので、困ったときにはお寺や専門業者に質問し、疑問を解消しておきましょう。
位牌の処分方法に迷ったときには、遺品整理に詳しい処分業者に相談しましょう
位牌は故人の霊が宿る大切なものです。位牌を処分するときにはお寺で閉眼供養などの儀式をおこなうのが一般的です。また、仏壇仏具店や葬儀社、遺品整理業者などに相談して処分をおこなうという方法もあります。
間違った方法で処分すると、故人やご先祖様を悲しませることになってしまいます。また、あとあと家族や親族の間でトラブルになることもあるので十分に注意しましょう。
位牌をどう処分したらいいか迷ったときには、専門の不用品回収業者や遺品整理業者に相談しながら対処するのがおすすめです。
また、お葬式が終わり、いつから遺品整理を始めれば良いかわからない方は、遺品整理を始めるのに最適な時期とは?をご確認くださいませ。
早稲田大学国際教養学部卒。その後、不用品回収や遺品整理に特化したメディア「不用品回収の窓口」の立ち上げに参画。400社を超える不用品回収業者の業務改善や集客改善に注力。同時に、環境省が主催する「使用済製品等のリユース促進事業研究会」へ定期的に参加し、不用品回収やゴミ問題解決に取り組んでいる。不用品や遺品整理に関する多様な記事の執筆・監修も担当。